■「無菌製剤処理料1」の見直しも
日本病院薬剤師会の北田光一会長は23日、神戸市内で開かれた日病薬近畿ブロック会議で、2016年度診療報酬改定に関して▽特定集中治療室(ICU)等での薬剤師の配置と多職種と連携した業務▽「無菌製剤処理料1」の見直し――などについて評価を得られると見通しを示した。ただ、「見かけはプラス改定だが実質マイナス改定という中で、どの程度の評価をいただけるかは2月中旬に最終的に出てくるまではっきりしない」と語った。
1月13日の中央社会保険医療協議会で示された診療報酬改定の骨子に「特定集中治療室等の高度急性期医療を担う治療室において、薬剤関連業務を実施するために薬剤師を配置し、多職種の連携を推進している場合を評価する」と記載された。北田氏は「集中治療室がある施設の半数以上に薬剤師が配置され、医療者の負担軽減やリスク回避に貢献している。先生方の努力が形になった」と話した。
また、日本薬学会を通して日病薬が要望していた十数項目の医療技術評価のうち「放射性医薬品安全管理加算、バーコードを使った誤調剤防止加算などについては評価が見送られた。唯一、無菌製剤処理料1の見直しが残った」と説明。閉鎖式接続器具を使って抗がん剤を無菌的に調製した場合などを評価する「無菌製剤処理料1」について、その点数を上げるのか、対象を拡大するのか、「どちらの形になって決着するかは分からないが、いずれにしても評価を行う優先度が高い項目として残っている」と説明した。
このほか診療報酬改定骨子の中で病院薬剤師に関連する項目として、北田氏は▽認知症患者に対する病棟での取り組みや多職種チームによる介入▽多種類の内服薬を服用する患者の処方薬剤を減少させる取り組み▽医師と薬剤師が連携し患者の処方薬剤を適正化する取り組み▽電子お薬手帳を紙媒体と同様に取り扱うこと▽抗精神病薬等の多剤・大量処方が行われている患者に対する評価の見直し▽GE薬の使用促進――などを提示した。
北田氏は「いずれにしても病院薬剤師の職能や活躍が、他の医療人や患者さんの目に見える形で展開しつつある。これから先、脇を締めながらこのままのがんばりを続けていけば、ある程度の光が見えてくる」と言及。
その上で、「病棟にとどまらず、集中治療室、手術関連業務、外来業務の充実を介してチーム医療に貢献することを重要課題にしている。原点に戻って医療安全にも取り組みたい。チーム医療の中では、これからますます薬剤師の力量が問われる場面が多くなる。専門領域の薬剤師の育成も重要な課題」と語った。