FHや高コレステロール血症患者に新たな治療選択肢
アステラス製薬株式会社は1月22日、同社とアムジェン社の合弁会社であるアステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社と共同開発した高コレステロール血症治療薬「レパーサ(R)皮下注」(一般名:エボロクマブ(遺伝子組換え))について、厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表した。これは、ヒトプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害薬として国内で初めてとなる。
レパーサは、ヒトIgG2モノクローナル抗体で、心血管イベントの発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン)で効果不十分な、家族性高コレステロール血症(FH)または高コレステロール血症を効能・効果とした皮下注射剤。PCSK9は悪玉コレステロールと呼ばれる低比重リポタンパクコレステロール(LDL-C)を血中から取り除く肝臓の働きを低下させるタンパク質。
アステラス・アムジェン・バイオファーマとして初の新薬
アステラスによると、複数の国内第3相試験においては、スタチンなどの脂質低下療法にレパーサを追加したところ、LDL-C値の顕著な低下が見られた。心血管系リスク及びLDL-C値の高い日本人患者を対象とした第3相試験 YUKAWA-2試験では、異なる1日用量のアトルバスタチン併用下で、レパーサ投与群(140mgを2週間に1回または420mgを4週間に1回)とプラセボ投与群を比較したところ、12週時点及び10週と12週時点の平均のLDL-Cのベースラインからの低下率は67~76%だった。家族性高コレステロール血症ホモ接合体(HoFH)の患者を対象とした国際共同非盲検単群試験TAUSSIG試験では、LDL-Cのベースラインからの低下率は約23%だったとしている。
高コレステロール血症、特に高LDL-C血症は、最もよく見られる脂質異常症の一種で、血中のコレステロールや脂質量が異常値を示す。FHは遺伝子の突然変異が原因で生じる遺伝疾患で、低年齢時からLDL-C値が高くなることが知られており、日本ではFH患者の診断率は1%未満と推定されている。FH患者にはHoFHとヘテロ接合体(HeFH)の2つの型があるが、HeFHの発生頻度がHoFHに比較して高く、日本では約500人に1人の割合で発症するといわれている。
同剤は、アステラス・アムジェン・バイオファーマとして初めての新薬。これまでに欧州、米国、カナダで承認されている。
▼関連リンク
・アステラス製薬株式会社 プレスリリース