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加齢に伴い発現するP2Y6受容体、高血圧リスク高める-九大ほか

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2016年01月22日 PM01:30

高齢者の2人に1人が高血圧、予防と治療が重要課題

九州大学は1月20日、加齢に伴い発現上昇するプリン作動性P2Y6 受容体()が複合体を形成することで、「」による血圧上昇を促進することを、マウスを用いた研究で明らかにしたと発表した。


画像はリリースより

この研究は、同大学大学院薬学研究院の西田基宏教授、生理学研究所の西村明幸研究員、マレーシアSabah大学、香川大学、ベルギー自由大学の共同研究によるもの。研究結果は、米国科学振興協会(AAAS)が発行する 「Science Signaling誌」電子版に、1月19日付けで掲載された。

日本では現在、高齢者の2人に1人が高血圧と診断されている。高血圧は脳卒中や心臓病などを引き起こす要因となることから、高血圧の予防と治療は非常に重要な課題となっている。血圧調節に関与する最も重要な生理活性ペプチドのひとつがレニン-アンジオテンシン系により産生されるアンジオテンシンII。これは、アンジオテンシン受容体(AT1R)に作用することで血圧を上昇させる働きがあるとされる。

副作用の少ない心血管病治療薬開発に期待

今回、共同研究グループは、アンジオテンシンIIの応答性に関与する分子としてP2Y6Rと呼ばれる受容体に注目。通常のマウスとP2Y6Rを持たないマウスの双方にアンジオテンシンIIを4週間投与したところ、P2Y6Rを持たないマウスでは血圧上昇と血管中膜の肥厚が抑制されることがわかった。また、細胞膜上でP2Y6RはAT1Rと複合体を形成していること、MRS2578というP2Y6Rと結合する化合物が、AT1RとP2Y6Rの複合体形成を阻害することが明らかとなった。アンジオテンシンIIとMRS2578を同時投与することで血圧上昇が抑制されたことから、AT1R-P2Y6R複合体がアンジオテンシンIIによる血圧上昇に重要であることが示されたという。

成体(4週齢)のマウスの血管平滑筋細胞では、アンジオテンシンIIが細胞の肥大を引き起こすが、胎児の血管平滑筋細胞では肥大ではなく、細胞の増殖が優位に起こることが知られている。そこで胎児と成体の血管平滑筋細胞でP2Y6R遺伝子の発現量を調べたところ、P2Y6R遺伝子は成長するにつれてその量が増加することがわかった。そして、成長に伴いAT1R-P2Y6R複合体が増加することで、アンジオテンシンIIの応答性が増殖から肥大応答に変化することが明らかとなった。非常に興味深いことに、1年齢の老齢マウスではP2Y6R遺伝子の発現量がさらに上昇していることも明らかとなった。共同研究グループは、加齢に伴うAT1R-P2Y6R複合体の増加が、高血圧リスク上昇の原因の一端を担っている可能性があることを示唆している。

今後、このAT1R-P2Y6R複合体をターゲットにすることで、副作用の少ない心血管病治療薬の開発が期待される。

 

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