世界トップレベルの「MDアンダーソンがんセンター」で実施
富士フイルム株式会社は1月14日、米国の現地時間1月12日から、抗がん剤「FF-21101」の臨床第1相試験を開始したと発表した。同試験は、肺がんなどの固形がんを対象としたもので、がん領域で世界トップレベルの研究・治療施設である米国テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターで行われる。
MDアンダーソンがんセンターでは、年間1万人以上の治験参加患者数があり、約2万人のスタッフを有する、世界トップレベルの総合がんセンター。同社は、同センターの世界最大規模の治験実施機能を活用し、臨床第1相試験を実施することで、FF-21101の安全性と初期の有効性を確認していくとしている。
同社によると、FF-21101は放射性同位体(RI)を標識した抗体(Armed抗体)を用いた抗がん剤で、通常の抗体医薬品とは異なる作用メカニズムを持っている。一般的な抗体医薬品は、抗体ががん細胞表面に発現する特定のタンパク質に結合し、生体が持つ免疫機能を誘引することで標的細胞を攻撃するが、免疫機能が低下した患者に対しては効果が弱くなるとされている。一方で、FF-21101は、RIを標識した抗体をがん細胞に集積させ、RIから放出する放射線で直接がん細胞を攻撃することができるため、患者の免疫機能の状態にかかわらず、高い効果が期待できるという。
同剤は、固形がんの細胞表面に多く発現している糖タンパク質の一群であるP-カドヘリンを標的とし、肺がんや膵臓がんなどの細胞に高い集積性を有する抗体を用いている。すでにマウスモデルでの動物実験では、がん組織を大幅に縮小させ、高い治療効果を示しているという。
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・富士フイルム株式会社 ニュースリリース