■後発品“多品目数在庫”進む
2016年度の調剤報酬改定は医科1に対し調剤0.3が一応は維持されることで決着。いよいよ個別項目の検討が進められるが、これに先立つ昨年末の中央社保険医療協議会で支払側は、かかりつけ薬剤師・薬局の業務評価体系設定に当たって3要件を求めた。このうち“服薬情報の一元的・継続的把握”“24時間対応・在宅対応”に関しては過半数は対応できるが、“医療機関等との連携”に対応できるのは4割弱であることが、例年薬事日報社が実施している「全国保険薬局調査」により明らかになった。
調査は全国の保険薬局から無作為に抽出した3000軒に実施、489軒から回答が得られた。今回は改定年度を目前に焦点とされる健康サポート薬局、あるいはかかりつけ薬局・薬剤師への認識などを新たな調査項目に盛り込んだ。
健康サポート薬局については、「かかりつけ薬剤師がいる薬局」を前提として、その機能として[1]服薬情報の一元的把握とそれに基づく薬学的管理・指導[2]24時間対応、在宅対応[3]かかりつけ医をはじめとした医療機関等との連携強化――の3視点が提案されていた。
調査では、これらに相当する具体的な評価項目とし、[1]患者がかかる全ての医療機関を把握し、服薬情報等を適切に記録する[2]時間外でもかかりつけ薬剤師が患者の相談等に対応する体制を整備している[3]地域包括ケア支援センター、訪問看護ステーションなど多職種と連携体制を構築している――という形で、対応の可能性を聞いた。いずれも100%に近い回答率であり関心の高さがうかがえた。この結果、[1][2]については約53%が「対応できる」とし、[3]については36%と過半数には届かなかった。
また、そもそも「健康サポート薬局」についての認識については、ほぼ100%の回答が得られたが、“理解している”が72%であり、概ね理解がされていることも明らかになった。
一方、後発品への対応については、今回も総備蓄品目数が「増加した」のが6割強の中、後発品在庫数は「150品目以下」の割合が漸減傾向を示し、「151品目以上」が伸び、後発品に関しては“多品目数在庫”化が進みつつあるようだ。
また、新人薬剤師の確保に関しては、今年度も「採用あり」は7%(前回7%)と低迷しているのに対し、来年度採用予定のある店舗(企業)では、24軒の回答と母数は少ないが、初任給が28万円台(前回27万1538円/n=13)に達した。
このほか1店舗の薬剤師在籍数は3.6人(正職員2.2人、パート等1.4人)、1日の来局者数は59人で例年並みだった。また、電子化の関連では電子お薬手帳を導入済みとの回答が14%(前回8%)と二桁に達したものの、これを調剤報酬上評価すべきが18%だったものの、「時期尚早」が43%と半数近くを占めていた。