主催者を代表してあいさつした東京医薬品工業協会の中山讓治会長は、昨年末に中央社会保険医療協議会で取りまとめられた4月の薬価制度改革について、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算が継続されたこと、基礎的医薬品の安定供給確保のための新たな制度導入がうたわれていることなどに業界を挙げて感謝したい」と述べた。ただ、特例再算定が導入されるなど、「全体としては厳しいものと受け止めている」とした。
また、厚生労働省が日本の高齢化がピークを迎える2035年に向けて、長期的な保健医療政策のあり方を検討する「保健医療2035」に言及。社会保障費が急増し、保健医療制度の持続可能性が懸念される中、報告書では「2年に1度の診療報酬改定でのいわばパッチワーク的な制度改正や財政調整を余儀なくされることもあるが、将来的には、中長期的な視点に基づいた制度改正を可能とするようなプロセスも検討すべき」と指摘されている。
中山氏は、「医薬品のイノベーションには20年近くを要するため、われわれ企業は今10~20年先を読んだ投資判断をしている。今後の日本の保健医療財源がどのような姿になるのか明確に認識することが不可欠であり、報告書では、中長期的な視点に基づいた制度改正の検討を『将来的には』とされているが、ぜひ迅速で積極的な取り組みを行ってもらいたい」と語った。
来賓あいさつでは、塩崎恭久厚労大臣が、「財政が厳しい中にあっても、イノベーションを評価し、新薬ができる限り出るようにしたい」と強調。その中で昨年12月に立ち上げた「医療ベンチャー懇話会」について触れ、「厚労省では規制することばかりで、ベンチャーを育てようという発想はあまりなかった。新しいものをつくり出す力に期待を申し上げたい」と語った。
また、日本が主要国首脳会議のホスト国となる今年、世界全体で大きくクローズアップされつつある薬剤耐性菌の問題解決に向けて、「日本がアジアでリーダーシップを発揮していってほしい」と語った。