任意接種の相談割合、ロタウイルスとB型肝炎で7%、髄膜炎菌は1%
任意接種のワクチンに関して、患者が小児科や一般内科の医師に相談する割合は低く、とりわけ相談率が低いのは髄膜炎菌ワクチン、その一方でインフルエンザワクチンについては一般内科で3割超の患者が接種の相談をしていることが、株式会社アンテリオのQuick Surveyによる医師対象調査から分かった。
調査はアンテリオのQuick Survey室が2015年11月25~26日に全国の小児科・一般内科の医師を対象にインターネット調査を行い、小児科医99人、一般内科102人から回答を得た。調査対象のワクチンは、小児科がロタウイルス、髄膜炎菌、B型肝炎、ムンプス、一般内科では肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザ、麻疹・風疹混合。
診療科・ワクチン種別ごとの全診療患者のうち任意接種の相談割合は、小児科でムンプスが8%、ロタウイルス、B型肝炎がそれぞれ7%、髄膜炎菌が1%、一般内科ではインフルエンザが32%、肺炎球菌が9%、麻疹・風疹混合が3%、髄膜炎菌が1%。
髄膜炎菌ワクチンに関しては、全く相談を受けたことがない医師の割合が小児科で71%、一般内科で87%と他のワクチンと比べて患者の関心が薄いのが特徴である。背景には、現在の流行地域がアフリカのサハラ砂漠以南にある通称「髄膜炎ベルト」と呼ばれる地域に集中し、国内での感染報告は少ないことから疾患の認知度も低く、なおかつワクチンも上市1年未満であるためとみられる。
「今シーズンのインフルエンザワクチン供給の不手際」に懸念の声も
回答した医師が好印象を持つワクチンメーカーは、全体ではトップがMSDで38%、次いで北里第一三共(現・ジャパンワクチン)が36%、阪大微研が30%など。先頃、未承認の製造方法でのワクチン製造が明るみになり、一部製品を除き出荷自粛が行われている化血研は29%で、全体で4位となっていた。診療科別では小児科ではMSDが43%、ジャパンワクチンが33%、北里第一三共が32%、一般内科では北里第一三共が40%、阪大微研が33%、MSDが32%などだった。
一方、医師側が製造企業や行政に求めることとして最も多かったのが、安定供給(小児科医14人、一般内科医6人)で、具体的には「予約なしで接種できる体制をとっており、出荷制限や調整がとても困る(GP小児科)」、「今シーズンのインフルエンザワクチン供給の不手際がよくなかった(GP一般内科)」との指摘。次いで多かったのは定期接種範囲の拡大(小児科医17人、一般内科医2人)で「ロタウイルスワクチンを定期接種に加えてほしい(HP小児科)」「予算をしっかりとって、おたふくかぜも含め、任意のものを全て定期にすべき」など意見があったほか、3番手には一般への啓蒙(小児科医8人、一般内科医10人)があげられ、「もっと啓蒙によい方法(ポスター、新聞広告、インターネット広告など)で情報を提供していただきたい。両親の情報は間違っていることが多い」との懸念の声もあった。
さらに適正価格に関する要望(小児科医4人、一般内科医8人)もあり、「納入価格が高すぎる(GP一般内科)」という意見のほか、「インフルエンザワクチンは、納入価も一斉に50%値上げとなったが、値上げの合理的な根拠も示されず、厚労省と製造会社の談合、癒着ではないか(GP一般内科)」という不信感を示す意見も存在した。
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