5~18歳を対象に、数年越しの調査実施
東北大学は1月5日、長時間のビデオゲームプレイが、脳の前頭前皮質、海馬、基底核といった高次認知機能や、記憶、意欲に関わる領域の発達性変化や言語性知能に対する影響に関連していることを明らかにしたと発表した。
画像はリリースより
この研究は、東北大学加齢医学研究所・認知機能発達(公文教育研究会)寄附研究部門の竹内光准教授、川島隆太教授らの研究グループによるもの。拡散テンソル画像解析とよばれる手法の拡散性という指標を用いて、ビデオゲームの言語系などやドーパミン系のネガティブな影響と関連した長期の神経基盤の変化を縦断研究で明らかにすることを目的に実施された。
研究参加者は、一般より募集した、悪性腫瘍や意識喪失を伴う外傷経験の既往歴などのない健康な小児。最初に日々のビデオゲームプレイ時間を含む生活習慣などの質問に答え、知能検査とMRI撮像を受けた。この時点での研究参加者の年齢は5歳から18歳(平均約11歳)。一部が、3 年後に再び研究に参加し、再び知能検査とMRI撮像を受けた。
発達期のビデオゲームプレイに一層のケアを
解析の結果、初回参加時における長時間のビデオゲームプレイ習慣は、初回参加時の低い言語性知能と関連し、初回参加時から数年後の2回目参加時へのより一層の言語性知能低下につながっていたとしている。
同様に、初回参加時における長時間のビデオゲームプレイ習慣は、初回参加時の前頭前皮質、尾状核、淡蒼球、左海馬、前島、視床など各領域の水の拡散性の高さ(高いほど水が拡散しやすく組織が疎であることの証拠)と関連しており、さらに初回参加時から数年後の2回目参加時でのこうした領域の発達性変化への逆の影響(水の拡散性の発達に伴う減少がより少ない)と関連していることが分かった。
また、言語知能、動作性知能、総知能のいずれも、共通して、左海馬、左尾状核、左前島、 左視床、周辺の領域の水の拡散性と負相関していたという。
ビデオゲームプレイは小児の日常生活において大きな幅を占めるものになっているが、今回の研究成果により、ビデオゲームプレイの長時間プレイが神経系の好ましくない神経メカニズムの発達と言語知能の遅れにつながることが示唆された。研究グループは、発達期の小児の長時間のビデオゲームプレイには一層の注意が必要であるとしている。
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・東北大学 プレスリリース