臨床試験中だった低酸素活性化プロドラッグ
独メルク社は2015年12月7日、進行性軟部肉腫および進行性膵臓がんにおける「evofosfamide」の開発継続を断念、承認申請を行わないことを決定したと発表した。
同剤は、臨床試験中の薬剤で低酸素活性化プロドラッグであり、多くの固形がんで顕著に認められる重度の低酸素状態下で活性化すると考えられている。固形がんの内部では血管形成が不十分なため、低酸素状態となっていると同様に、造血器腫瘍患者の骨髄においても高度の低酸素状態を認める場合がある。
2012年2月、メルク社はThreshold Pharmaceuticals, Inc.と、evofosfamideの米国での共同販売オプションを有するグローバルな共同開発および販売に関する契約を締結していた。
「avelumab」などへ開発リソースを再編成
今回の決定は、これら2種類のがんにおける化学療法に「evofosfamide」を併用した2つの第3相試験の結果報告をThreshold Pharmaceuticals Inc.から受けたことによるもの。膵臓がんにおいて有効性の徴候が認められたが、両試験において事前に設定した主要評価項目を達成することができず、軟部肉腫および膵臓がんを適応症とした承認申請を裏付けるデータとはならなかったという。
この2つの第3相試験の詳細なデータは、さらに分析を進めた上で、医学系学会で共有される予定。メルク社は今後、開発中の抗PD-L1モノクローナル抗体「avelumab」などの注目度の高い将来の候補薬をはじめ、腫瘍領域、免疫腫瘍領域および免疫領域の優先順位の高いすべてのプログラムへの開発リソースの再編成を進めていくとしている。
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・メルクセローノ株式会社 プレスリリース