■テーマ別に7カ所で実施へ
厚生労働省医薬・生活衛生局の2016年度予算案は、前年度比1.7%増となる90億5400万円となった。政府の成長戦略を具体化する“推進枠”として14億0400万円が認められたため、増額を確保した。薬剤師関連では、かかりつけ薬局の機能を明確化した「患者のための薬局ビジョン」の推進に新規で1億8000万円を計上。かかりつけ機能を強化するため、地域における薬局連携の推進をはじめ、四つのテーマを設け、それぞれについて7カ所でのモデル事業を全国で実施する。
医薬・生活衛生局の予算案は、推進枠を生かして増額を確保した。薬剤師関連では、新規で「患者のための薬局ビジョン」の推進に1億8000万円を計上。概算要求時の2億2500万円から減額となった。
ビジョン実現に向け、▽地域の薬局全体のかかりつけ機能強化を図るための薬局同士の連携推進▽かかりつけ医など多職種との連携による薬局の在宅医療サービス推進▽電子お薬手帳を活用した地域における先進的な健康づくり推進▽地域の多様な機関と連携した健康相談の実施(薬局薬剤師によるアウトリーチ型健康づくり推進)――の四つのテーマを設け、一つのテーマにつき7カ所ずつ全国でモデル事業を実施し、先進的な取り組みを支援する。
革新的な医薬品・医療機器等の国内開発の環境整備には、推進枠を生かして4億4100万円を計上。そのうち、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の人員増に1億3200万円を充て、薬事戦略相談の充実や市販後安全対策の実施に必要な職員13人分を手当てした。
また、人道的見地からの治験(日本版コンパッショネートユース)の推進に700万円を計上。開発企業が治験実施に必要なPMDAへの相談手数料を9割程度軽減する。
後発品の品質確保対策の推進には、推進枠を生かして3億1200万円を確保。国立医薬品食品衛生研究所に設置した「ジェネリック医薬品品質情報検討会」で品質に懸念が示された品目、市場流通品の品質確認検査の方針決定や検査結果等の学術的評価を一元的に実施し、有効成分ごとに品質情報を体系的に整理した冊子「ブルーブック(仮称)」を公表する。
新規で医薬品の広告・販売に関するルール遵守の徹底に1000万円を確保し、製薬企業による適正な広告活動を確保するため、医療用医薬品を対象に協力医療機関を選定。医療現場の医師や薬剤師に対する製薬企業の販促活動の状況について直接情報を収集、評価した上で、広告違反に当たる行為を早期に発見し、行政指導など必要な対応を図る。
さらに、新規事業として6月に策定した国際薬事規制調和戦略に2億7800万円を充てる。そのうち、アジア医薬品・医療機器薬事トレーニングセンターの設置に1億2200万円を計上した。