レブラミドとデキサメタゾンとの併用療法として
ブリストル・マイヤーズ株式会社は12月24日、がん免疫療法薬「エロツズマブ」について、再発または難治性の多発性骨髄腫の適応で、レブラミド(一般名:レナリドミド)およびデキサメタゾンとの併用療法として、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったと発表した。
エロツズマブは、「Empliciti」という製品名で、2015年11月30日に米国食品薬品局(FDA)より、レナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用療法で、1~3種類の前治療歴を持つ多発性骨髄腫患者に対する治療薬として承認されたがん免疫療法薬。国内では、2015年11月19日に再発または難治性の多発性骨髄腫を予定される効能または効果として希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けている。
多発性骨髄腫は、血液がんのひとつ。体内に侵入したウイルスや細菌などの異物を排除する抗体を産生する形質細胞という血液細胞ががん化したもの。進行するまで病状が現れることが少なく、早期診断が難しい病気としても知られている。いまだ完治を望むことが難しく、治療法の選択肢が限られていることから、アンメット・メディカル・ニーズの高い疾患のひとつとされている。
無増悪生存期間、奏効率で有意な改善認められる
今回の申請は、再発または難治性の多発性骨髄腫患者に対して、エロツズマブとレブラミドおよびデキサメタゾンとの3剤併用(E-Rd)群と、レブラミドとデキサメタゾンのみの2剤併用(Rd)群とを比較するランダム化第3相臨床試験であるELOQUENT-2(CA204-004)試験のデータに基づくもの。
同試験では、最低2年間の追跡調査の結果、主要評価項目のひとつである無増悪生存期間(PFS)のハザード比は0.70(95%信頼区間:0.57,0.85,P=0.0004)となり、E-Rd群でRd群と比較して有意なPFSの延長が認められた。また、1年時点及び2年時点でのPFS率は、E-Rd群及びRd群でそれぞれ68%と57%、41%と27%となり、E-Rd群が追跡調査期間を通してPFSでのベネフィットを示したという。もうひとつの主要評価項目である奏効率(ORR)はE-Rd群で79%を達成(95%信頼区間:74%-83%)し、Rd群の66%(95%信頼区間:60%-71%)に対し、ORRを有意に改善した(オッズ比1.94,P=0.0002)。E-Rd群の安全性プロファイルはRdのみと同等で、有害事象による中止率は、E-Rd群で26.1%、対象群であるRd群で26.8%だったとしている。
エロツズマブは、骨髄腫細胞やNK細胞の細胞表面に発現しているSignaling Lymphocyte Activation Molecule Family Member 7(SLAMF7)というタンパクへ特異的に結合する。NK細胞はエロツズマブがNK細胞上のSLAMF7と結合することにより活性化され、また、骨髄腫細胞表面のSLAMF7に結合したエロツズマブは、NK細胞に認識される指標となる。
このようにエロツズマブは、NK細胞と骨髄腫細胞に対する二重の作用で抗骨髄腫効果を発揮すると考えられている。免疫系に直接作用することから、がん免疫療法薬に位置づけられており、免疫チェックポイント阻害薬の開発など、がん免疫療法で重要な役割を担っていくことが期待されている。
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・ブリストル・マイヤーズ株式会社 ニュースリリース