■調剤報酬の返還額5億円超
厚生労働省は22日、2014年度の保険医療機関、保険薬局の指導・監査等の実施状況をまとめ、公表した。1薬局が保険指定の取り消し処分、8人が保険薬剤師の登録取り消し処分を受けた。指定の取り消しは前年度と横ばいで、登録取り消しは7人増えた。指導・監査による調剤報酬の返還額は5億4000万円だった。
調剤報酬に関わる個別指導を実施した保険薬局は1497件、薬剤師は2073人、新規個別指導を行った保険薬局は2798件、薬剤師は3538人、集団的個別指導を行った保険薬局は3851件、適時調査を行った保険薬局は1件、監査を行った保険薬局は7件、薬剤師は32人だった。特に新規個別指導の薬局数が前年度に比べて約300件増えており、新たに保険薬局として申請した新規開設薬局が多かったことが考えられた。
保険指定を取り消されたのは、東京都の「いとう調剤薬局」の1薬局で、調剤報酬715万3000円を返還していた。関東信越厚生局に情報提供があり、個別指導を実施したところ、調剤報酬の請求に不正が疑われたことから、監査を実施した。
その結果、特定の医療機関から直接持ち込まれた処方箋に基づいて調剤し、その薬を医療機関に届けるのみで患者に会うことなく調剤報酬を不正請求していたことが判明した。
指定取り消し相当となったのは、12年12月に廃止している岩手県の「スピード調剤川又薬局」、11年4月に廃止している岩手県の「福岡調剤薬局」、14年6月に廃止している東京都の「アスコ薬局」、13年12月に廃止している岐阜県の「こまくさ薬局大垣店」、12年2月に廃止している大阪府の「りんご薬局」、14年9月に廃止している宮崎県の「ひむか24時間薬局」の6薬局で、いずれも架空請求や付け増し請求、監査拒否で処分されている。
また、医科と歯科を合わせると80施設、260人に監査を行い、指定取り消し相当を含めて34施設の指定と22人の登録を取り消した。指定取り消しは前年度から24施設減り、登録取り消しも3人減った。
不正内容は、架空請求、付け増し請求、振替請求、二重請求を行った不正請求がほとんどを占めているが、施設基準に関する虚偽の届け出を行う医療機関もあった。
取り消し処分のきっかけについては、保険者や医療従事者、医療費通知に基づく被保険者からの情報提供が25件と過半数を占めた。
医療機関からの返還総額は、133億2377万円(指導で41億3453万円、適時調査で65億1527万円、監査で26億7397万円)で、前年度より約12億8000万円減った。内訳は、医科が124億7000万円、歯科が3億2000万円、薬局が5億4000万円。