ROS1陽性転移性NSCLCに対する初の分子標的薬へ
米国のファイザー社は現地時間の12月8日、米食品医薬品局(FDA)が「ザーコリ(R)」(一般名:クリゾチニブ)の医薬品承認事項変更申請(sNDA)を受理し、ROS1陽性転移性非小細胞肺がん(NSCLC)治療薬として優先審査品目に指定したと発表した。
優先審査の対象となる医薬品は、「治療に大きな進歩をもたらす可能性がある」もしくは「適切な治療法が存在しない分野の治療薬となる可能性がある」医薬品であり、審査期間はFDAの申請受理日から起算して10か月から6か月(目標)に短縮される。
ザーコリはキナーゼ阻害剤であり、米国では、「FDA承認の検査法でALK陽性と診断された局所進行または転移性NSCLC」を適応症として承認。また、オーストラリア、カナダ、中国、日本、韓国、欧州連合など85か国以上で承認されている。
ザーコリはキナーゼ阻害剤であり、米国では、「FDA承認の検査法でALK陽性と診断された局所進行または転移性NSCLC」を適応症として承認。また、オーストラリア、カナダ、中国、日本、韓国、欧州連合など85か国以上で承認されている。
ROS1陽性転移性NSCLC患者に顕著な抗腫瘍効果示す
同社によると、ROS1はNSCLCの分子サブグループの一つ。ROS1遺伝子が別の遺伝子と融合することでROS1の再構成が生じ、各遺伝子の機能が正常に働かなくなることで、がん細胞の成長を促進する可能性がある。疫学データから、ROS1の再構成は、NSCLCのおよそ1%に生じることが示唆されている。世界では毎年150万人が新たにNSCLCの診断を受けることから、そのうちのおよそ1万5,000症例はROS1融合によって生じたがんである可能性があるとしている。
FDAへの承認申請は、多施設共同・単群・第1相試験(1001試験)に基づくもの。この試験では、ROS1陽性転移性NSCLC患者53人を対象にザーコリの評価が行われた。このうち50人の患者のデータが、「The New England Journal of Medicine」誌の2014年11月20日号に掲載され、「ROS1陽性転移性NSCLCの患者においてザーコリが顕著な抗腫瘍効果を示した」ことが示された。さらに、ROS1陽性転移性NSCLC患者におけるザーコリの安全性プロファイルは、ALK陽性進行NSCLCの患者において認められた安全性プロファイルと同様だったという。
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・ファイザー株式会社 プレスリリース