■総務省14年度調査
総務省統計局は15日、「2015年科学技術研究調査」の結果を公表した。14年度の企業や大学の科学技術研究費の総額は、前年度比4.6%増の18兆9713億円と2年連続で増加し、過去最高となった。産業別では、「医薬品製造業」が1兆4953億円で、前年度から4.1%増加。自動車や航空機、船舶などを製造する「輸送用機械器具製造業」の2兆8447億円、パソコンや映像・音響機器など「情報通信機械器具製造業」の1兆6238億円に続き、3番目に企業研究費が多く、全産業の11.0%を占めた。
■新薬開発へ積極投資鮮明に
国内総生産(GDP)に対する研究費の比率は、前年度比0.12ポイント増の3.87%と2年連続で増加し、過去最高となった。米・英・独・仏・伊などの主要8カ国の中で最も高い水準を維持している。
研究費の内訳は、企業が13兆5864億円で研究費全体に占める割合が71.6%と最も大きかった。大学等は3兆6962億円で19.5%、非営利団体・公的機関は1兆6888億円で8.9%を占めた。前年度と比べると、企業が7.0%増と引き続き伸びたのに対し、前年度に最も伸びが大きかった非営利団体・公的機関が3.1%減、大学等も0.1%減と、アカデミア等の研究費は減少に転じた。
企業の研究費を産業別に見ると、医薬品製造業が1兆4953億円で、輸送用機械器具、情報通信機械器具に次いで3番目となった。
ただ、売上高に対する研究費比率では、医薬品製造業が12.21%と全製造業の中で最も高く、前年度に比べて0.51ポイント上昇した。
全製造業で見ると、売上高に対する研究費比率はマイナス0.04ポイントと下がっている中、医薬品製造業では、売上の多くを新薬などの研究開発に積極的に投資している実態がうかがえた。
企業の自然科学に使った研究費を性格別に見ると、開発研究費が10兆2836億円、応用研究費が2兆3630億円、基礎研究費が9148億円。前年度に比べ開発研究費は9.0%増、基礎研究費は5.2%増、応用研究費は0.3%増となった。
製造業では、全産業の中で基礎研究費の割合が最も低くなっているが、その割合について詳しく見ると、医薬品製造業は19.4%と、2割近くを創薬などの基礎研究に投入していることが分かった。
一方、今年3月31日現在の研究者数を産業大分類別に見ると、製造業が44万3100人で、全体の87.5%を占めた。医薬品製造業の研究者は、2万3400人と前年度に比べて3.4%増加した。研究者1人当たりの研究費は2684万円と、前年度比で2.6%増加。産業別研究者1人当たりの研究費は、医薬品製造業が前年度比0.6%増の6385万円と最も多かった。
調査は、国内の科学技術に関する研究活動の状態を把握し、科学技術振興に必要な基礎資料を得るため、総務省が毎年行っているもので、今年も5月に実施した結果をまとめた。