6つの疾患領域で、iPS細胞技術の臨床応用目指す
京都大学iPS細胞研究所「CiRA」(サイラ)と武田薬品工業株式会社は12月15日、iPS細胞技術の臨床応用に向けた共同研究を開始したことを発表した。
Takeda-CiRA Joint Program for iPS Cell Applications(T-CiRA)と称する今回の共同研究では、がん、心不全、糖尿病、神経変性疾患、難治性筋疾患など6つの疾患領域で、iPS細胞技術の臨床応用を目指して研究を行うとしている。
iPS細胞技術は医療の未来に画期的な変革をもたらす可能性があり、その応用は創薬研究、細胞治療、薬物安全性評価など多岐にわたる。武田薬品は10年間で200億円の提携費用を提供し、CiRAおよび他の大学から参加する専門家のリードによる複数の研究プログラムを、CiRAと共同で実施するという。
2016年4月に追加プロジェクトも開始
現在、武田薬品の湘南研究所(神奈川県)を拠点として、6つのプロジェクトが同時に進められており、CiRA、武田薬品の両者から合計60人がそれぞれの研究に従事している。プロジェクトの内容は下記のとおり。
- 「神経堤細胞」の研究(研究責任者:池谷真先生)
- iPS細胞を使った筋萎縮性側索硬化症(ALS)の研究(研究責任者:井上治久先生)
- 1型糖尿病に対する再生医療開発と2型糖尿病に対する創薬研究(研究責任者:長船健二先生)
- 再生免疫細胞を利用した新しいがん免疫療法の開発(研究責任者:金子新先生)
- iPS細胞を利用した難治性筋疾患に対する治療薬の研究(研究責任者:櫻井英俊先生)
- iPS細胞を用いた心疾患創薬プラットフォームの開発と心不全の新規治療開発への応用研究(研究責任者:吉田善紀先生)
なお、新たな実験室の準備が整う2016年4月には追加のプロジェクトも開始し、合計100人以上の研究者が10件以上のプロジェクトに携わる予定だとしている。
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・武田薬品工業株式会社 ニュースリリース