日本、アジア諸国の独占的開発・販売権に関して米国アケビア社と
田辺三菱製薬株式会社は12月15日、米国アケビア社との間で慢性腎臓病に伴う経口貧血治療剤「バダデュスタット(Vadadustat)」に関する日本および他のアジア諸国(台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、インドネシアなど)での独占的開発・販売権にかかわる協業契約を締結したことを発表した。
同剤は、慢性腎臓病に伴う経口貧血治療剤として開発されている。低酸素誘導性因子プロリル酵素を阻害することにより、転写因子である低酸素誘導性因子を安定化・調整する働きを持つ。ヘモグロビンレベルを予測・持続可能な形で増加させるため、投与計画により段階的なコントロールが可能になる。鉄の動員を改善し、鉄分補給の必要性を低減できる潜在性も有している。
契約締結時に40百万ドル、販売額に応じロイヤリティも
同剤は現在、経口治療薬として慢性腎臓病に伴う貧血患者に関する保存期・透析期の双方の患者を対象とした第2相臨床試験を米国で完了。2015年から国際共同第3相試験に関する計画を開始している。
今回の契約締結により、田辺三菱製薬はアケビア社に対して契約締結時に40百万ドルを支払う。また、同支払額を含めて契約締結時一時金と開発費用負担額として、最大100百万ドルを支払う可能性がある。さらに、開発および販売マイルストンとして最大約250百万ドル、日本を含むアジア諸国での販売額に応じて10~20%台のロイヤリティを支払う可能性があるとしている。
なお、「慢性腎臓病診断ガイドライン」によると、日本では約1100万人がステージIII以上の慢性腎臓病に罹患していると考えられ、透析を受けている人を含め、多くの人が貧血に悩まされていると予想される。貧血の原因は、腎臓病患者が持つ腎機能の進行的な喪失であり、これにより、低酸素状態に応答して赤血球の産生を調節する身体機能の欠如が起こる。貧血を治療せずに放置すると、慢性腎臓病の症状進行につながり、患者の健康悪化が全身で生じると考えられている。
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・田辺三菱製薬株式会社 プレスリリース