過去の実験情報を基に医薬候補品をコンピュータ上で導きだす創薬技術
田辺三菱製薬株式会社は12月9日、日本電気株式会社(NEC)、株式会社理論創薬研究所と3社共同で、インシリコ創薬の高精度かつ高速なアプローチを開発したと発表した。
画像はリリースより
インシリコ創薬とは、ICTを駆使することで、過去の膨大な実験情報を基に、効率的かつ理論的に最善の医薬候補品をコンピュータ上で導きだす創薬技術のこと。実験データを収集解析し、シミュレーションモデルを構築する。インシリコ創薬により、実際に合成する化合物数を減らすことで、従来以上の創薬スピードの向上が期待されている。
創薬ナレッジの抽出速度を最大で約24倍向上
田辺三菱製薬と理論創薬研究所は、2012年より、膨大な化合物情報が一元化されたデータベースから、医薬品創製で重要な、目的解決に直接役立つ過去の成功・失敗事例といった「創薬ナレッジ」を、研究員が目的に応じて効率的に抽出できるシステムを研究・構築してきた。
同システムは「Matched Molecular Pair Analysis」(MMPA)と呼ばれる解析手法の改良版をシステム化したもの(改良版MMPA)。これにより、解析対象となる化合物の構造を変化させることで生じた様々な分子レベルでの性質の変化(水溶性、脂溶性、溶解度など)を数値化し、化合物のデザインの指針となる創薬ナレッジを、コンピュータ上で抽出することが可能になるという。
2014年からNECも参画し、より高速度での処理を実現させるため、改良版MMPAにおけるデータ検索の過程を見直し。オープンソースのデータベース「PostgreSQL」に検索を並列処理させるソフトウェア「NEC PostgreSQL Accelerator」を適用させることで、改良版MMPAを用いた創薬ナレッジの抽出速度を最大で約24倍向上させたとしている。
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・田辺三菱製薬株式会社 ニュースリリース