
意見書は、高齢化がピークを迎える25年の医療ニーズの変化に対応するため、「医療提供体制の再構築、地域包括ケアシステムの構築等に取り組むこと」を重要課題に位置づけた。
社会保障審議会医療保険部会と医療部会がまとめた改定の基本方針でも、重点課題として「医療機能の分化・強化、連携を含め、在宅医療や訪問看護の整備を進め、効果的・効率的で質の高い医療提供体制を構築すると共に、地域包括ケアシステムを構築することが示された」とし、「全ての国民が質の高い医療を受け続けるために必要な取り組みについての協議を真摯に進めていく。こうした基本認識については、支払側委員と診療側委員の意見の一致を見た」との認識を示した。
ただ、16年度改定に臨むべき姿勢については意見の相違が見られたとし、支払側は、「政府の掲げる強い経済の実現はいまだ道半ばで、医療保険者の財政は深刻な状況に陥っている。長年にわたり賃金・物価の伸びを上回る診療報酬改定が行われてきていることを考慮すれば、患者負担や保険料負担の増加につながる診療報酬の引き上げを行うことは、到底、国民の理解と納得が得られない」とマイナス改定を主張。薬価引き下げ分を診療報酬本体の引き上げに充当せず、国民に還元することを求めた。
診療側は、「超高齢社会に対応し、地域包括ケアシステムの確立を含め、国民の安心・安全の基盤を整備するためには過不足ない財源投入が必要」「アベノミクスの成果による賃金上昇を医療従事者にももたらす必要がある」などとし、財源確保に向けて診療報酬本体のプラス改定を求めた。
診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)は、リーマンショック後の09年以降、医療従事者の平均月間給与総額は「伸びていない」と反論。医療・福祉分野に従事する約300万人が安倍政権が求めている賃上げの恩恵を受けるためには、「医療費ベースで4700億円の財源が必要になる」とし、プラス改定を訴えた。
診療側の万代恭嗣委員(日本病院会常任理事)は、薬価引き下げ分の財源を診療報酬本体の引き上げに充当することは、「医療の進歩に充当している」との認識を示し、「国民に還元していないという表現は考慮いただきたい」と述べた。
一方、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、意見書について「支払側として異論はない」とした。