自閉症患者の興奮性に対する治療薬ほとんどなく
大塚製薬株式会社は12月7日、抗精神病薬「エビリファイ」(一般名:アリピプラゾール)の小児期の自閉性障害に伴う興奮性に対する効能・効果追加申請、および「エビリファイ錠1mg」の剤形追加申請を国内で行ったことを発表した。
同剤は、同社が創製し開発したドパミンD2受容体パーシャルアゴニスト作用を有する非定型抗精神病薬。日本では経口剤として2006年1月に統合失調症の効能で承認を取得し、追加効能として双極性障害における躁症状の改善が2012年1月に、うつ病・うつ状態が2013年6月に承認を取得。さらに、2015年5月から4週間に1回投与の持続性水懸筋注製剤を統合失調症の効能・効果で販売している。
自閉症は1万人に対して2~20人の有病率といわれており、日本の患者数は約2万1,000人と報告されている。また、そのうち2割に興奮性が見られるという。これまで日本では1982年に定型抗精神病薬が自閉性障害の異常行動などに対して承認されていたが、副作用が多いことから小児患者に使用するうえで安全性の問題を抱えており、小児患者も使用可能な、忍容性の高い非定型抗精神病薬の早期の適応取得が求められていたという。
6~17歳への臨床試験でエビリファイの有効性・安全性証明
同社は、米国で2009年11月に「自閉性障害に伴う興奮性:Irritability associated with autistic disorder」の効能・効果で小児患者(6~17歳)に対し、エビリファイの承認を取得した。日本では、2011年に日本小児心身医学会、日本小児精神神経学会、日本小児神経学会の3学会より医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議に自閉性障害に伴う興奮性に対する開発要望が出され、2012年に大塚製薬は、厚生労働省より開発要請の通知を受けていた。
承認申請に関する日本での臨床試験は、自閉性障害と診断され行動障害(かんしゃく、攻撃性、自傷行為、またはこれらの複合行為)のある興奮性を伴う自閉性障害の患者(6~17歳)を対象に実施。その結果、同剤の有効性及び安全性が証明されたとしている。
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・大塚製薬株式会社 ニュースリリース