非ビタミンK拮抗経口抗凝固剤では、欧州連合から初の承認
ドイツのベーリンガーインゲルハイムは11月26日、欧州委員会から「プラザキサ(R)」(一般名:ダビガトランエテキシラート)の特異的中和剤「Praxbind(R)」(一般名:idarucizumab)の承認を取得したことを発表した。
Idarucizumabは、ダビガトランの特異的中和剤として設計されたヒト化抗体フラグメント(humanized antibody fragment:Fab)。ダビガトラン分子のみに特異的に結合し、凝固カスケードを妨げることなく抗凝固作用を中和する。ベーリンガーインゲルハイムの研究者らによって創薬・開発され、その研究プログラムは、「プラザキサ」が米国で販売承認を取得した2010年に先立つ2009年に開始されたという。
同剤は、ダビガトランの特異的中和剤として、非ビタミンK拮抗経口抗凝固剤(NOAC)では初めて欧州連合から承認された。緊急手術や緊急処置を要する患者、または生命を脅かす出血もしくは止血困難な出血を発現した患者において、ダビガトランの抗凝固作用を迅速に中和する必要がある場合に使用される。
臨床試験では速やかにダビガトランの抗凝固作用を中和
今回の承認は、健常被験者のデータならびに2014年5月から進行中のRE-VERSE AD(TM)試験の中間解析の結果に基づいたもの。この臨床試験では、5gのidarucizumabを投与後、idarucizumabの中和効果が数分で明らかになった。さらに、ほぼすべての患者において、中和作用が見られ、最低12時間持続したという。また、承認申請で提出したidarucizumab が投与された同試験の患者123人および200人以上の健常被験者を含むデータにおいて、安全上の懸念や血栓形成促進の兆候は見られなかったとしている。
同社は今回の承認を受けて、Praxbindは実際の医療現場で非常に低い頻度でしか使用されないが、万一の事態に使用できる特異的中和剤があることで、医師や患者のプラザキサへの安心感はさらに増すだろうと述べている。
なお、同剤は今年10月に米国食品医薬品局(FDA)の承認も得ている。同社は各国での条件が整い次第、速やかに欧州連合加盟国でidarucizumabを上市する予定だとしている。