厚生労働省は4日、現行薬価と市場取引価格の開きを示す平均乖離率が、9月取引分で約8.8%だったとする薬価本調査結果の速報値を、中央社会保険医療協議会総会に報告した。前回調査に比べて薬価の開きは0.6ポイント拡大した。流通安定のための調整幅を2%とすると、市場実勢価に基づく薬価引き下げ率は約6.8%となる。直近の薬剤費は医療費ベースで約9兆円と見られており、これに当てはめると約6000億円の削減効果がある。
今回の薬価調査で報告されたのは、9月取引分について、販売サイドから10月27日までに報告があったものの集計結果。市場規模の大きい主な薬効群別の乖離率を取引金額上位で見ると、内用薬では「血圧降下剤」が11.4%、「糖尿病用剤」が10.3%、「高脂血症用剤」が12.0%、「その他アレルギー用薬」が12.3%と大きく、内用薬全体では9.4%となった。最も大きい乖離率となったのは「消化性潰瘍用剤」で13.3%だった。
注射薬では「他に分類されない代謝性医薬品」が8.6%、「主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの」が9.5%、「その他の腫瘍用薬」が6.9%、「その他のホルモン剤」が8.0%、注射薬全体では7.5%だった。
外用薬では「眼科用剤」が8.6%、「鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤」が9.3%、「その他の呼吸器官用薬」が7.5%、外用剤全体で8.2%だった。
今後、薬価調査の結果をもとに、新薬創出等加算品目や市場拡大再算定品目等が決まるため、引き下げ率が変動する可能性がある。
また、厚労省は同日、9月取引分の医療用医薬品の納入価格妥結率は97.1%と、前回調査の73.5%を上回ったことを示した。前回に比べ、特に未妥結減算の対象施設となった200床以上の病院、20店舗以上のチェーン調剤薬局で妥結率が大きく上昇していた。