■1000億円超で再算定
厚生労働省は2日、次期薬価制度改革に向け、後発品の初収載薬価を先発品の5割(10品目超内用薬は4割)に引き下げ、バイオ後続品は先行品の7割を維持する方向性を、中央社会保険医療協議会薬価専門部会に示した。価格帯は長期収載品を基準とした3価格帯を維持する。市場拡大再算定は、年間販売額1000億円超を例外的に「巨額」とし、1000億~1500億円以下で予想販売額の1.5倍以上、1500億円以上で1.3倍以上の品目を対象とする案を提示、委員から目立った異論はなかった。
厚労省が示した論点整理では、初後発品薬価を先発品の5割(4割)に引き下げ、バイオ後続品は現行の7割維持を提案。ただ、引き下げ幅は、2015年度の薬価調査結果を踏まえ、最終的に決める。後発品の価格帯は、長期収載品を基準に3価格帯を維持する方向性を打ち出した。
長期収載品の薬価は、政府の数量目標として、当面の17年央の70%目標を踏まえ、特例引き下げの対象となる後発品の置き換え率を「30%未満」「30%以上~50%未満」「50%以上~70%未満」に引き上げることを提案した。
これに対し、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「引き下げ幅も議論してはどうか」と迫ったが、加茂谷佳明専門委員(塩野義製薬常務執行役員)は「特例引き下げは、後発品に置き換えが進まない場合、繰り返し適用される極めて厳しいルール。さらなる引き下げ率の検討は強く否定したい」と反論。医療費適正化の効果を踏まえた議論を求めた。
また加茂谷氏は、初後発薬価について、注射薬・外用薬の乖離率が内用薬と比べて10%程度小さいことを指摘。「一律に5割とするのは乱暴な議論ではないか」と述べ、投与経路別の検討を要請した。
市場拡大再算定をめぐっては、年間販売額が1000億円を超える例外的な場合を「巨額」とし、▽1000億~1500億円以下で予想販売額の1.5倍以上▽1500億円以上で1.3倍以上――の品目は、再算定の対象とし、特に1500億円以上の場合、引き下げ率を最大50%とする案が示されたが、異論はなかった。
一方、基礎的医薬品は、過去の不採算品再算定品、古くから医療を支える医薬品等を対象に、最も販売額が大きい銘柄に価格を集約し、その薬価を維持する試行的取り組みを16年度改定で開始する案を示した。
幸野委員は、「基礎品だから何でも下支えするのはいかがなものか。新ルールを導入するなら、安定供給を担保すべきだし、限定した品目だけ扱ってほしい」と要望。厚労省の中井清人薬剤管理官は「基礎品は限定的に考えたい」と応じた。