骨芽細胞の細胞遊走(運動)に注目
東京医科歯科大学は11月26日、同大大学院医歯学総合研究科 分子薬理学分野の江面陽一准教授と野田政樹教授の研究グループが、骨粗鬆症に至る骨量減少には、細胞の遊走(運動)の低下が関わることをつきとめたと発表した。
画像はリリースより
骨粗鬆症は、現代の超高齢化社会において急速に増加しており、人口の約1割が罹患すると推定されている。大腿骨の頸部骨折や脊椎の骨折を起こし、重症例では骨折の後の死亡率の高い重要な疾患だが、骨粗鬆症の根幹である骨量減少がどのようなメカニズムで病態を引き起こすのかについて、未解明な部分が多く残っている。
同研究グループは、骨芽細胞の細胞遊走(運動)に注目。骨リモデリングにおける骨芽細胞の遊走による骨形成の仕組みを明らかにするために、細胞の骨格と細胞遊走を制御する遺伝子「Nck」を骨芽細胞で特異的に破壊して、その影響を調査した。
骨粗鬆症の病態解明、治療法などの開発に期待
その結果、細胞骨格を制御するアダプター分子であるNckを欠失すると、骨芽細胞の遊走を抑制することを発見。さらに、骨リモデリングにおける骨形成が生体の中で低下して動物が骨粗鬆症を起こすことを世界で初めて明らかにしたという。これにより、骨芽細胞の遊走は骨形成の維持や骨量の維持に重要であり、この機能が損なわれると骨粗鬆症に至ることが解明された。
今回の研究成果は、骨粗鬆症の病態の解明や新規の診断法、治療法開発へつながるものと期待される。なお同研究成果は、国際科学誌「米国国立科学アカデミー紀要」オンライン版に、11月30日付で掲載されている。
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