日本国内の患者数が増加傾向にある多発性硬化症
武田薬品工業株式会社は11月26日、多発性硬化症治療剤「コパキソン(R)皮下注20mgシリンジ」(一般名:グラチラマー酢酸塩)を日本国内で発売したと発表した。効能・効果は多発性硬化症の再発予防。
多発性硬化症(MS)は、中枢神経系の炎症性脱髄性障害を主徴とする自己免疫疾患であり、脳および脊髄の脱髄斑を特徴とする。一般的な症状として、視覚および眼球運動異常、感覚異常、筋力低下、痙縮、排尿不全、認知機能障害などがみられる。
同疾患は、発病初期から慢性進行性の経過をたどる一次進行型、再発・寛解を繰り返す再発寛解型、再発・寛解を経て進行型に転ずる二次進行型があり、8割以上の患者が再発寛解型に分類される。また、MSの日本における罹患者数は約18,000人であり、さらに増加傾向にあるという。
免疫を調整することで中枢神経における炎症を抑制、MSの再発を予防
グラチラマー酢酸塩は、イスラエルのTeva Pharmaceutical Industries Ltd.が開発したMSの再発を予防する1日1回の皮下投与注射剤。免疫を調整することで中枢神経における炎症を抑制し、MSの再発を予防する。海外での適応症は再発型のMS。海外における最も頻度の高い副作用は、注射部位反応(紅斑、疼痛、腫瘤、掻痒感および浮腫)だ。現在、米国・ロシア・カナダ・メキシコ・オーストラリア・イスラエル・欧州諸国など50か国以上で承認されており、MS領域では世界で最も繁用されている薬剤のひとつとされている。
同剤は、2009年3月に厚生労働省より希少疾病用医薬品に指定され、2010年5月には厚生労働省から「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬」として、武田薬品が開発要請を受けた。その後、2013年3月、同社は同剤の日本における製品化に関するライセンス契約をTeva社と締結。契約に基づき、2015年9月28日に製造販売承認を取得し、11月26日に薬価収載された。
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