■厚労省が留意事項
厚生労働省は11月27日、電子版お薬手帳の運用上の留意事項をまとめ、都道府県に通知した。一つで服薬情報を把握できるようにするため、利用者が複数の手帳を持つ場合には、薬局で一つに集約することや、どの手帳を使っていても、医療機関や薬局のパソコンから一元的に閲覧できる仕組み構築を求めた。データ項目は、保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)の仕様書に従うこととした。
通知では、お薬手帳サービスを提供する薬局や医療機関、アプリケーション提供やデータを保存するサーバー管理などを運営する運営事業者の運用上の留意点を示している。
薬局などでは、薬剤師が利用者にお薬手帳の意義、役割、利用方法について十分な説明を行い、理解を得ることや、利用者の求めに応じて少なくともQRコードで情報を出力すること、利用者に情報を提供する場合には、「調剤年月日」「薬品情報」「用法情報」など、その他必要な情報を提供することを求めた。
薬剤師等がデータを閲覧する際には、利用者への十分な説明に基づく同意を求めた。具体的には、情報の閲覧ごとに、利用者に口頭で確認したり、利用者による携帯電話の操作、または携帯電話の受け渡しなどの動作により、同意を得ることが望ましいとした。
薬局の事情により、利用者のお薬手帳サービスの選択が制限されないよう留意し、利用者が電子版から紙への変更を希望した場合は、紙への切り替えを適切に行うことを求めた。
運営事業者に対しては、お薬手帳サービスの利用方法などの説明が十分に行われるよう、相談窓口の設置や問い合わせ先を明確にすることを求めたほか、データ項目については、JAHISが公表している電子版お薬手帳データフォーマット仕様書に従うこととし、新たに「連絡・注意事項」「要指導医薬品、一般用医薬品」の項目を設けることとした。
過去の服薬情報などを適切に把握するため、最低1年分の服薬情報の一覧性(スマートフォン、パソコン等の一画面で服薬情報を特段の操作なく一覧できる仕組み)を確保し、画面上でアレルギー歴などの基本情報に容易にアクセスできるようにする。
手帳の乗り換えを容易にするため、JAHIS標準フォーマットで規定されるデータ項目の移行ができるような機能を備えることも求めた。
お薬手帳のサービスを開発、提供するに当たっては、個人情報、医療情報に関する法令、ガイドライン等を遵守することを求めた。集積されたデータの二次利用については、当面の間、利用者や医師、薬剤師などの関係者と、どのようにデータを利用するかについて合意がない限り利用すべきでないとした。