NSCLC患者の57%、診断時に転移または進行で治療難しく
米国のファイザー社は11月18日、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤「ザーコリ(R)」(一般名:クリゾチニブ)の第3相試験であるPROFILE1029において、無増悪生存期間(PFS)の有意な延長が示され、主要目的を達成したことを発表した。
世界的に、肺がんは男女を問わず、がんの死亡原因の第1位。非小細胞肺がん(NSCLC)は、肺がん全体の85%を占め、特に転移した事例では治療が困難とされる。NSCLC患者の約57%は、診断時に転移または進行が認められ、5年生存率はわずか5%という。
無増悪生存期間延長、化学療法に対しザーコリの優越性裏付け
PROFILE1029試験では、東アジア(中国、香港、台湾、タイ、マレーシア)の前治療歴のないALK陽性進行NSCLC患者を対象に、標準的な化学療法(白金製剤を含む)との比較を行った。ザーコリはALK陽性進行NSCLC患者に対する1次治療として使用され、転移の診断を受ける前の早期ステージにおいて、治療または手術、もしくはその両方を受けることが可能だった。
同試験によって、東アジアのALK陽性NSCLC患者を対象とした場合でも、ザーコリは、PFSの延長という点で化学療法よりも優れていることが証明された。これは、以前に実施したアジアと欧米の患者を含む複数の国際共同無作為化臨床試験において、標準化学療法と比較してPFSが改善したという結果と一致している。進行NSCLC患者では、治療早期の段階からバイオマーカーを評価することが重要であり、そうすることで適切な患者に適切な治療を届けることが可能になることが、これらの試験結果から裏付けられたと同社は報告している。
なお、同試験で報告されたザーコリの有害事象は、既知の安全性プロファイルと同様で、未知の有害事象は観察されなかった。PROFILE1029試験の有効性と安全性のデータは、今後開催される医学学会にて発表される予定。
ザーコリは米国、欧州連合、中国、日本の規制当局によって承認された世界初のALK阻害剤。今では世界85カ国以上で承認されており、ALK陽性進行NSCLCにおける標準治療薬として広く使用されている。これまでに世界で2万人以上の患者が同剤による治療を受けているという。
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・ファイザー株式会社 プレスリリース