■地域に密着し多職種連携を
厚生労働省医薬・生活衛生局総務課の森浩太郎課長は26日、専門紙の共同会見に応じ、「医薬分業は今、大きな転換期を迎えている」との認識を示し、2016年度、18年度診療報酬改定で「かかりつけ薬剤師、薬局の真価が試される。薬局の機能、薬剤師の職責が問われるような局面になるだろう」との見通しを示した。
森氏は、地域包括ケアの中でかかりつけ薬剤師・薬局として職責を果たしていくためには、「かかりつけ医や栄養士、介護ステーションなどとの連携が必要になってくる」と強調。生涯学習などを充実させ、「地域の中で多職種と連携を取りながら、活躍するという姿が望ましい」と語った。
政府の規制改革会議などから、患者本位の医薬分業を進めるため、薬局・薬剤師の職能を患者に理解してもらうことが重要と指摘されていることに触れ、「まずは薬剤師・薬局が患者に対して本来のポテンシャルを示してもらいたい」と期待を寄せた。
薬局については、「門前という批判もある」とする一方で、「地域に密着し、商店街を支えている面もある。そういうところを生かしていくことも重要」との考えを示した。
日本再興戦略にも盛り込まれているセルフメディケーションの推進については、薬剤師による適切な管理が前提になるとの認識を示し、「必要に応じて医師に受診勧奨することが大事」と強調。一般薬や健康食品との相互作用なども考慮しつつ、「薬局で推奨してもらいたい」と述べた。
さらに、来年2月の第101回薬剤師国家試験から適用されることとなった新たな合格基準についても言及。合格者の基準を、これまでの「得点率65%以上」から「平均点と標準偏差を用いた相対基準」に変更すると共に、足切りの要件も一部緩和するというもので、一部では、低迷している合格率をこれ以上低下させないための“緩和措置”との見方も広がっているが、「学生が大学で学んだことを試験でどう認定していくかという話なので、一概に甘くなったとか、厳しくなったということではない」と強調。
「そんなに悪問が多かったとは聞いていないが、レベル感が合わないということなので、今回、基準を見直したということ」と述べ、あくまで受験者の学習レベルや問題の難易に関する少しの振幅で合格者数が大きく変動するという問題を改善する観点からの対応であることを説明した。