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膵臓がん患者、樹状細胞ワクチン療法と抗がん剤併用の予後予測因子の探索結果発表-テラ

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2015年11月30日 PM12:30

樹状細胞ワクチン療法の安全性、有効性を評価

テラ株式会社は11月25日、樹状細胞ワクチン療法と抗がん剤を併用した膵臓がん患者の予後予測因子の探索結果について、「World Journal of Gastroenterology」(2015年第21巻39号)に掲載されたことを発表した。

同社は、2010年8月に東京慈恵会医科大学附属柏病院消化器・肝臓内科と共同研究契約を締結し、進行膵臓がん及び進行胆道がんを対象として、(塩酸ゲムシタビン)を併用した、新規ペプチドであるWT1クラスIIペプチド及びWT1クラスIペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法の安全性並びに有効性を評価するための第1相臨床研究を進めていた。

樹状細胞とは、体内に侵入した異物を攻撃する役割を持つリンパ球に対して、攻撃指令を与える司令塔のような細胞。樹状細胞ワクチン療法とは、本来、血液中に数少ない樹状細胞を体外で大量に培養し、患者のがん組織や人工的に作製したがんの目印である物質(がん抗原)の特徴を認識させて体内に戻すことで、樹状細胞からリンパ球にがんの特徴を伝達し、そのリンパ球にがん細胞のみを狙って攻撃させるがん免疫療法である。

血漿中のIL-6及びIL-8濃度が予後予測因子の可能性

膵臓がんは難治性がんの一つで極めて予後不良な疾患であり、国内では、毎年3万人以上が亡くなっている。テラの契約医療機関における樹状細胞ワクチン療法の膵臓がんの累計症例数は、2015年9月末現在、9,800症例中1,900症例以上で、あらゆるがん種の中で最も実績を積んでいる。そのため、樹状細胞ワクチン療法がどのような患者により効果が出るか、予後を予測できる因子の解明が求められてきていた。

今回の研究では、抗がん剤を併用した、WT1クラスIIペプチド及びWT1クラスIペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法において、7例の膵臓がん患者の治療前後の血漿中に含まれるインターロイキン濃度を解析した。

1年以上の長期生存を認めた例(3/7例)の治療期間において、WT1特異的遅延型アレルギー反応(DTH反応)が見られ、治療前と比較してIL-6とIL-8の濃度の低下が継続して観察された。さらに、樹状細胞ワクチンを5回投与した時点で、高IL-6(2pg/ml以上)の患者と比較すると、低IL-6(2pg/ml未満)を示した患者では全生存期間(OS)が統計学的有意に延長(全生存期間:582~1,050日)。病態が進行すると、WT1特異的DTH反応は顕著に減少し、がん末期では陰性となった。また、長期投与期間中のIL-6とIL-8の血漿中濃度の低下は、WT1特異的DTH反応や全生存期間と関連していたという。

以上の結果から、長期投与期間中における血漿中のIL-6とIL-8低濃度は、膵臓がん患者の抗がん剤とWT1クラスIIペプチド及びWT1クラスIペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法の併用における予後予測因子である可能性が示唆されたとしている。

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