RBVを併用、非併用でelbasvir/grazoprevirの有効性・安全性評価
米国のMerck&Co.,Inc.,Kenilworth N.J.,U.S.A.は11月14日、C型肝炎ウイルス(HCV)ジェノタイプ(GT)1、4、6型慢性感染患者を対象とする、リバビリン(RBV)を併用、または非併用でのelbasvir/grazoprevir(50mg/100mg)1日1回投与の有効性と安全性を評価する第2相および第3相臨床試験6件における代償性肝硬変患者(Child-Pugh分類A)の統合解析結果を発表した。
elbasvir/grazoprevirは、HCV NS5A複製複合体阻害剤のelbasvirとHCV NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤のgrazoprevirを組み合わせた1日1回投与の配合剤の治験薬。同社の広範な臨床試験プログラムの一環として実施する複数のHCVジェノタイプに対する同剤の評価では、肝硬変、進行性慢性腎臓病、HIV/HCV重感染、遺伝性の血液疾患のある患者や、オピエート補充療法を受けている患者など、治療困難な患者を対象としている。
2015年7月、米国食品医薬品局(FDA)は、同剤を新薬承認の優先審査品目に認定し、処方箋薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づく期限を2016年1月28日とした。また、今年4月には、同剤をHCV GT1慢性感染と末期の腎臓病があり血液透析を受けている患者およびHCV GT4慢性感染患者に対する画期的治療薬に認定している。日本ではC型慢性肝炎患者を対象とした第3相臨床試験が進行中である。
ジェノタイプ1、4、6型C型慢性肝炎や代償性肝硬変治療に光
最大の解析対象集団(FAS)(n=402)を対象とした結果では、未治療の代償性肝硬変患者に同剤をRBVと併用、またはRBVを併用せずに12週間投与したところ、投与終了12週間後のウイルス学的著効(SVR12率)はそれぞれ90%(31例中28例)、98%(138例中135例)だった。また既治療の患者に同剤をRBVと併用、またはRBVを併用せずに12週間投与したところ、SVR12率はそれぞれ91%(81例中74例)、89%(54例中48例)だったという。既治療の患者に同剤をRBVと併用、またはRBVを併用せずに16週間または18週間投与したところ、SVR12率はそれぞれ100%(49例中49例)、94%(49例中46例)となった。このデータは、米国肝臓学会で口頭発表されている。
C型代償性肝硬変を有する患者は、抗ウイルス療法に対する体の反応が落ちているため、これまで治療が困難だった。今回の複数の治験データの統合解析では、elbasvir/grazoprevirを投与した患者は、RBVを併用しない場合でも高いウイルス学的著効を示すものとして、今後の新たな治療に期待が寄せられている。
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