非アルコール性脂肪性肝炎進行した患者、血清Gpnmb値高く
岡山大学は11月24日、同大学院医歯薬学総合研究科(医)腎・免疫・内分泌代謝内科学分野の和田淳教授、片山晶博大学院生らの研究グループが、肥満ラットの内臓脂肪組織に増加するタンパク質「Gpnmb (glycoprotein nonmelanoma protein B)」を発見。Gpnmbが脂肪肝や肝の線維化を抑制すること、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が進行した患者で血清Gpnmb値が高値であることを世界で初めて明らかにしたと発表した。
画像はリリースより
同研究グループは、Gpnmbを内臓脂肪細胞、マクロファージに過剰発現させたマウスを高脂肪高蔗糖食で飼育。飼育した肥満状態のマウスと野生型マウスを比較し、脂肪肝や肝の線維化が抑制されることを突き止めた。
NAFLDの治療法、NASHの簡便な診断法開発につながる成果
さらに解析を進めた結果、過剰発現させたGpnmbは肝臓内のマクロファージや星細胞に存在し、カルネキシンという物質と結合することで酸化ストレス、脂肪沈着、線維化を抑制することを明らかにした。
また、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)患者の中でも特にNASHが進行した患者で血清Gpnmb値が高値であることもわかったという。
現在、NAFLDは、世界における慢性肝疾患の主因となっており、先進国ではその頻度は30%を超え、さらに患者数は増加している。現在、進行性のNASHの確定診断には、肝組織の一部を採取して検査する必要があるが、同研究で同定したGpnmbがNASHの新たなバイオマーカーとして診断を容易にする可能性がある。今後、同研究成果により、Gpnmbを治療ターゲットとしたNAFLDの治療法の開発なども期待される。
なお、同研究成果は11月19日付けの英国オンライン科学雑誌「Scientific Reports」に掲載された。
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