大会初日の開会式であいさつした山本信夫会長は、財務省が10月30日の財政制度等審議会・財政制度分科会に提示した調剤報酬適正化案について言及。
診療報酬本体とは別に、「ゼロベースでの抜本的かつ構造的な見直しが必要」としているほか、調剤技術料、調剤料に重点的な配分となっており、処方箋の受付と、いわゆる薬のピッキング業務のみで収益を稼ぐことが可能になったと指摘していることに対して山本氏は、「極めて不愉快。ピッキングは泥棒が(他人の家の)鍵を開ける行為。薬剤師はそんなことを言われるようなことをしてきたつもりはない。にもかかわらず、なぜこうしたことを言われたのか。改めて原点に立ち返って考える必要がある」と述べた。
大会運営委員長の内野悟氏(鹿児島県薬剤師会会長)は、財政審の調剤報酬適正化案に沿った形で2016年度調剤報酬改定が行われた場合、県内の多くの薬局が「経営危機に陥ると予測されている」と指摘。
南北の距離が600kmもある鹿児島県では、「1集落に1診療所、1薬局しかないところがあり、そうしたところは門前薬局に分類されてしまう。都市部の薬局が抱える問題との違いをどう調整するのか、人口減少時代という大局的な観点からも細かな詰めが議論されるのではないかと予想している」と述べた。
来賓あいさつでは、渡嘉敷奈緒美厚生労働副大臣が多くの薬剤師が現場でがんばっているにもかかわらず、「なぜ、患者のための薬局ビジョンで、いまでも手がけている仕事を再度、念押しされ、規制改革会議から厳しいコメントが寄せられるのか」と指摘。「患者さんが薬局を出るときにありがとうと言ってもらえる。この瞬間をしっかり作っていくことが大切」との考えを示した。
式典の最後には、来年の日薬学術大会を担当する愛知県薬剤師会の村松章伊会長に、鹿児島県薬の内野会長から薬剤師綱領の盾が引き継がれた。来年は、「プロフェッションを追求する」をテーマに10月9、10の両日、名古屋市の名古屋国際会議場、名古屋学院大学名古屋キャンパス白鳥学舎で行われる予定。
引き続き行われた各賞受賞者表彰式では、6人に日本薬剤師会賞、8人に日本薬剤師会功労賞、1団体に日本薬剤師会有功賞がそれぞれ贈られた。