EGFR変異陽性NSCLC患者の3分の2でT790M耐性変異発現
英国のアストラゼネカは11月13日、「TAGRISSO(TM)」(AZD9291)80mg錠1日1回投与が、米国食品医薬品局(FDA)が承認した検査方法により、上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)による治療後に病勢進行した転移EGFR T790M変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者の治療薬として、FDAから承認を取得したことを発表した。
AZD9291は、活性型・感受性変異(EGFRm)およびEGFR-TKI耐性遺伝子変異であるT790Mの両方を阻害するよう設計された、EGFR-TKI標的がん治療薬。EGFR-TKIによる治療後病勢が進行したEGFR変異陽性NSCLC患者の約3分の2でT790M耐性変異が発現するが、これまで治療選択肢は限られていた。
臨床試験開始2年半の記録的スピードで承認取得達成
AZD9291のFDA承認は、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬の使用中または使用後に病勢進行した411例のEGFR T790M変異陽性非小細胞肺がん患者において有効性を示した2本のAURA第2相試験(AURA第2相延長試験、AURA2試験)のデータに基づいている。客観的奏効率は59%、奏効期間は12.4カ月であったという。
今回の適応は、その抗腫瘍奏効率および奏効期間(DoR)に基づきFDAの迅速承認プロセスを経て承認された。アストラゼネカでは、次世代医薬品である同剤を一日も早く患者に届けるために、画期的な臨床エビデンスを構築し、記録的なスピードで承認を達成したと報告している。
また、同剤はEGFRm T790Mを有する非小細胞肺がん患者の標準治療となる可能性を持っているとし、今回の迅速承認は医療従事者や患者に重要な新規選択肢を提供するものだと述べている。
なお、アストラゼネカは、AZD9291のコンパニオン診断薬として「cobas(R) EGFR Mutation Test v2」をロシュと共同開発している。
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・アストラゼネカ株式会社 プレスリリース