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前立腺がんにホルモン療法が効きづらく エピゲノムの観点から理由解明―東大

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2015年11月20日 PM12:15

マイクロRNS発現がエピゲノムの変化招く、がん悪性化の鍵に

東京大学は11月18日、前立腺がんのホルモン療法に対して獲得される抵抗力()について、その仕組みをエピゲノムの観点から世界で初めて明らかにしたと発表した。この研究は、同大学大学院医学系研究科抗加齢医学講座の井上聡特任教授と同医学部附属病院老年病科の高山賢一助教らの研究グループによるもの。


画像はリリースより

同研究グループは、アンドロゲン作用やホルモン療法の耐性の獲得に伴い活性化されるマイクロRNAがDNA修飾を担うTET2遺伝子の発現をがん細胞全体において抑制することで、エピゲノム状態を変化させていることを見出した。このエピゲノム状態の変化が、がん関連遺伝子の発現やアンドロゲンの作用を活性化し、がん悪性化の鍵として関わっていることが判明したという。

研究では、前立腺がん細胞がホルモン療法に対する耐性を獲得したマウスに、マイクロRNAの働きを抑制する薬剤を投与。その結果、ホルモン療法の効き目が高まったとしている。また、実際に前立腺がんを患っている患者の細胞で発現されているマイクロRNAの量を分析したところ、マイクロRNAの発現が高いほど前立腺がんを再発しやすいこともわかったとしている。

この成果は、ホルモン療法が効きづらくなったがんの新たな治療戦略の確立に役立つものと期待される。

、発症者・死亡者急激に増加

前立腺がんは男性で最も頻度の高いがんであり、その発症者、死亡者は日本でも急激に増加。男性ホルモンであるアンドロゲンの作用は前立腺がんの発生、進展を担っているため、前立腺がんの治療にはアンドロゲンの作用を抑制するホルモン療法が有効であり、広く普及している。しかし、ホルモン療法に対する耐性を獲得することががん治療において大きな問題と考えられており、そのため前立腺がんのホルモン療法について、どのようにして耐性化が獲得されるかという仕組みを解明することが待ち望まれていたという。

同研究は、文部科学省ならびに日本医療研究開発機構(AMED)の「次世代がん研究シーズ戦略的育成プログラム『ノンコーディングRNAを標的とした革新的がん医療シーズ』」の一環として実施。英国の科学雑誌「Nature Communications」オンライン版に、ロンドン現地時間の9月25日付けで発表された。

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