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PEGASUS-TIMI 54サブ解析結果による「チカグレロル」の長期忍容性データをAHA学術集会で発表-英AZ

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2015年11月20日 AM10:30

日本国内では未承認の急性冠動脈症候群に対する経口抗血小板治剤

英国のアストラゼネカ社は11月10日、心筋梗塞の既往歴(試験組み入れ1~3年前)がある患者で、治療を継続した患者において、「」(海外での製品名:(R))の投薬を中止した理由と中止率を評価する「PEGASUS-TIMI 54試験」のサブ解析に関する詳細データを発表した。同データは、2015年米国心臓協会(AHA)学術集会の最新臨床試験セッションにおいて発表されている。

チカグレロルは、急性冠動脈症候群(ACS)に対する経口抗血小板治剤。シクロペンチルトリアゾロピリミジン群(cyclo-pentyl-triazolo-pyrimidines:CPTPs)に分類され、P2Y12受容体に直接作用する。血小板活性を阻害することで効果を発揮し、ACS患者において心筋梗塞あるいは心血管死を含む血栓性心血管イベントの発生率を低下させることが示されている。なお、日本国内では未承認だ。

今回、サブ解析が発表されたPEGASUS-TIMI 54試験は、試験組み入れ前の1~3年の間に心筋梗塞の既往歴があり、かつ他の血栓性心血管イベントのリスク因子をさらに1つ有する50歳以上の患者が対象。低用量アスピリンの治療下で、チカグレロル錠60mgあるいは90mg、またはプラセボを1日2回併用投与したときの、アテローム血栓性イベントの再発抑制を長期的に調べ、チカグレロルとアスピリンの併用療法の有効性と安全性を評価したものである。

治療3年経過時での忍容性と有効性を確認、有害事象は1年目で高発症

統合解析結果により、治療を継続した患者において、治療3年経過時点で、チカグレロルが複合有効性エンドポイントである心血管死、心筋梗塞または脳梗塞の発症率を低減させたことが示され(ハザード比:0.79、95%、信頼性区間:0.70-0.88)、PEGASUS-TIMI54 試験全体の被験者の結果と同一傾向が示されたという。

有害事象による投薬中止率はプラセボ群で8.9%、チカグレロル90mgおよび60mg群でそれぞれ19%、16.4%で、出血および呼吸困難による中止が最も頻繁にみられた。投薬中止の原因となった有害事象の発症率は、1年目で最も高く、90mg群では16%、60mg群では13%、プラセボ群では6%。その後治療を継続した患者において、2年目、3年目の投薬中止率は90mg群で6.5%、60mg群で6.0%、プラセボ群で4.6%だったという。

同試験の主任治験責任医師であるDr. Marc P. Bonaca, MD, MPHはこの結果を受けて、投与開始後1年までに高率に発生する出血や呼吸困難を含めた、全体的なリスクを十分に考慮する必要があると指摘。そうした注意深い治療を行うことで、チカグレロルは、長期的にみて心血管イベントの再発リスクが高い患者に、重要なベネフィットを提供することができる、と述べている。

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