システム障害により、副作用報告の遅延が発生
厚生労働省は11月13日、副作用報告システム障害によって発生した副作用報告の遅延について、医薬品医療機器法違反により、ノバルティス ファーマ株式会社へ行政処分を実施したと発表した。違反内容は、同社が製造販売する57成分の第一種医薬品(処方箋医薬品)についての5,475症例の副作用を定められた期限内に報告しなかったこと。また、併せて同じ原因により発生した、同社が依頼した28成分の治験の被験薬(治験薬)に関する154症例の副作用を定められた期限内に報告しなかったことである。
同社はこれまで大規模な副作用報告義務違反により、2014年7月に業務改善命令、2015年2月には業務停止命令を受けている。また、2014年8月29日付で提出した改善計画書では、再発防止に努める旨を明記していた。しかし、システム障害発生後、副作用報告遅延の可能性があったにもかかわらず、直ちに厚生労働省及び医薬品医療機器総合機構(PMDA)へ報告を行わず、報告を行ったのは副作用報告遅延を認識した後であった。
また、システム障害が発生した場合であっても、早期に解消できるという認識を持っていたため、対応人員の増強、紙媒体による副作用報告などあらゆる手段を検討すべきところ、これを怠り、副作用報告遅延を拡大させたことにより、再び大規模な副作用報告遅延を発生させた。同社の対応は、副作用報告遅延を最小限度にとどめる努力を怠ったものと言わざるを得ず、業務改善を重ねて行うことにしたという。
副作用報告義務違反を回避するための措置に万全を尽くすよう指示
厚労省は、今後副作用報告を遅延させかねないような事態(システムの障害、大規模改修等)が発生した場合は、対応の遅れにより期限内に副作用報告ができない事態が発生しないよう、緊急時にも代替手段により確実に報告が行える体制を構築するとともに、その対応に必要な応援要員を予め定め、それらの社員に対して副作用報告業務の予備的教育・訓練を実施することや、そのための業務手順書を作成することなど、体制の整備を指示。それらを踏まえ、改善命令等発出後1か月以内に、是正措置及び再発防止策に係る改善計画を策定して、厚生労働省に提出することを命じた。
これを受けてノバルティス ファーマは、再び副作用報告遅延の問題で行政処分を受けたことを極めて重く受け止め、深くお詫びすると発表。提出する改善計画に基づき、速やかに社内改革を実施し、再び患者や医療関係者に迷惑をかけることのないよう、全力で再発防止に取り組むとしている。