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ヒトパレコウイルス3型重症感染症児における母親の移行抗体の役割を証明-新潟大

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2015年11月17日 AM06:00

2004年に発見された新興感染症「ヒトパレコウイルス3型」

新潟大学は11月11日、小児科分野で注目を集めている新興感染症「ヒトパレコウイルス3型」について、母親からの移行抗体(母親から胎盤を通じて移行する免疫物質)が、その発症に重要な役割を果たしていることを世界で初めて証明する研究結果を発表した。


画像はリリースより

この研究は、同大大学院医歯学総合研究科の齋藤昭彦教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Emerging infectious diseases」オンライン版に11月1日付で掲載された。

ヒトパレコウイルス3型は、2004年に発見された新興感染症。国内で2~3年おきに流行を繰り返す。、早期乳児が罹患すると、発熱、哺乳不良、発疹などをきたし、重症感染症として入院が必要になるが、なぜこのウイルスが新生児、早期乳児のみ重症感染症をきたすのかについての明確な理由は解明されていなかった。

母親の年齢が高ければ高いほど、抗体陽性率は低く

研究グループは、母親から胎盤を通じてもらう免疫物質、いわゆる移行抗体が、子どもをヒトパレコウイルス3型から守るために重要であると考察。そこで、正常に生まれた約180名の新生児の臍帯血を用いて、ヒトパレコウイルス3型に対する抗体価を測定したという。

その結果、約40%の母親でヒトパレコウイルス3型に対する十分な抗体価を持っていないことが判明した。すなわち、この40%の母親から生まれた子どもが、将来この感染症を発症する可能性を示唆していると言える。

また、母親の年齢が高ければ高いほど、抗体陽性率が低くなることも分かった。(20歳代前半で100%、25~34歳で64%、35~44歳で49%)。このデータからは、約20年前にこのウイルスが現れたと推定される時期に、保育園、幼稚園などの感染の伝播が多い環境で過ごした若い母親は抗体を持っている人が多いが、その頃に感染の伝播が少ない環境である高校生、大学生であった年齢の高い母親は、抗体を持っている割合が少ないことが推測されるという。

一方、実際にヒトパレコウイルス3型に感染した子どもを対象とした研究も実施。2014年に全国的な流行があり、新潟県では43名の子どもが同感染症と診断されたが、発症時の患児は、ヒトパレコウイルス3型に対する抗体価は低く、罹患した後の生後3か月、6か月においては、抗体価は高く維持されており、抗体がこの感染症の発症に重要であることが明らかとなった。

さらに、国内で販売されているヒト免疫グロブリン製剤のヒトパレコウイルス3型に対する抗体を調べたところ、すべての製品で高い抗体価を認めたため、ヒト免疫グロブリン製剤のヒトパレコウイルス3型に対する効果が示唆されたという。

この研究から、特に重症例では、有効な治療がない現在、ヒト免疫グロブリン製剤による治療が患児の予後を改善することが期待される。今後、流行が起こった際には、患児にヒト免疫グロブリン製剤を使った臨床試験を実施する予定としている。

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