50歳以上の成人の90%以上が感染する野生型VZV
英国のグラクソ・スミスクラインplcは10月27日、70歳以上の成人を対象にした開発中の帯状疱疹ワクチン候補を評価する2つ目の主要第3相プラセボ対照比較試験(ZOE-70)において、90%(95%信頼区間:84~94%)の有効性が実証され、主要目的が達成されたことを発表した。
帯状疱疹は、痛みとかゆみを伴う発疹が身体の片側に出現する疾患。潜伏していた水痘ウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス:VZV)の再活性化によって起こる。VZVに感染した人は誰でも帯状疱疹を発症するリスクがあり、主なリスク要因としては加齢や免疫系の低下が挙げられる。帯状疱疹の合併症には、瘢痕、視覚障害、二次感染、神経まひなどがあるが、もっともよくみられるのが帯状疱疹後神経痛(PHN)で、15~30%の帯状疱疹患者に認められるという。
多数の国々からのデータによると、50歳以上の成人の90%以上が野生型VZVに感染しているため、50歳を超えると帯状疱疹のリスクが上昇するとされている。また、PHNなどの合併症のリスクも加齢に伴って上昇。帯状疱疹を発症する生涯リスクはおよそ3人に1人だが、85歳以上になるとリスクは上昇し、2人に1人の割合になるという。
合併症である帯状疱疹後神経痛に対しても89%の有効性
開発中のワクチン候補は、帯状疱疹を引き起こすウイルス中のタンパク質であるgEをAS01Bアジュバントと組み合わせることでgEに対する免疫反応を促す不活化ワクチン。今回ZOE-70で示された高い有効性は、今年初めに発表された50歳以上の成人を対象とした初の第3相試験(ZOE-50)で示された結果と同様のものだという。
また、事前に計画されていたZOE-70とZOE-50のデータの併合解析では、合併症である慢性の神経障害性疼痛PHNを同剤が効果的に予防することも実証された。70歳以上の成人のPHNの予防において89%(95%信頼区間: 69~97%)の有効性を、50歳以上の成人においては91%(95%信頼区間:76~98%)の有効性を示したという。
これらのデータ及び公表済みのZOE-50のデータに基づき、GSKは2016年後半、同剤の50歳以上の成人における帯状疱疹予防について、北米、日本そして欧州で承認申請する予定。なお、日本においては、ジャパンワクチン株式会社が同剤の開発を行っている。
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・グラクソ・スミスクライン株式会社 プレスリリース