医療機器の開発・設計で、国内アカデミアとして初となる国際規格「ISO 13485」の認証
国立循環器病研究センター(国循)と株式会社UL Japanは11月6日、医療機器設計開発管理に関する国際規格「ISO 13485」の認証取得について、都内で記者会見を行った。同会見には、国循研究開発基盤センターの妙中義之センター長、巽英介副センター長らが出席した。
ISO 13485認証授与を受ける
妙中センター長(右から2人目)ら
ISO 13485とは、医療分野における品質マネジメントシステム(QMS)の世界標準規格。安全で有用な医療機器や体外診断用医薬品の継続的な開発・製造・供給が可能なシステムを具えていることを示す。同規格の導入で、製造・供給における安全性が証明され、市場内での信頼獲得と組織の価値向上が期待できるという。
アカデミアにおける医療機器の研究開発を企業での製品化へつなげるため、国循は早期・探索的臨床試験拠点整備事業(MeDICI project)のもとに、医療機器のQMSであるISO 13485を導入し、設計開発管理体制の整備を行ってきた。UL Japanは、国循の総合的医療機器開発体制が同規格に適合することを認証した。
妙中センター長「研究者・医師による医療機器の開発促進が責務に」
国循によるISO 13485認証取得は、日本国内のアカデミアとしては初となるもの。同規格の記載事項は、諸外国の医療機器開発・製造に関する法的要求と一致する。また、業務を標準化することで、企業への技術移転をスムーズに行うことが期待できるという。
巽副センター長は「これまでは、基礎研究から治験にいたるまでのデータをエビデンスとして蓄積することが難しかった。技術移転を受けた企業は、品質保証下で薬事申請に使えるデータを一から取得する必要があり、ロスが大きかった」と振り返る。ISO 13485の導入により今後は、「基礎研究から治験にいたるまで、国循でワンストップで成し遂げることができようになり、企業へのスムーズな技術移管ができる仕組みとなった」と語った。
また、妙中センター長は「『国民が受ける医療の質の向上のための医療機器の研究開発及び普及の促進に関する法律』の施行により、研究者・医師による医療機器の開発促進が責務となった。これまで我々研究者は科学的な価値を生み出してきたが、ISO 13485認証の取得により、製品化に至るまでの価値を新たに見出し、さらなるイノベーションを見出すことができる」と、今後の開発促進に期待を寄せた。