医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 自由診療による再生医療的行為に警鐘、患者勝訴判例を分析・報告-NCNP

自由診療による再生医療的行為に警鐘、患者勝訴判例を分析・報告-NCNP

読了時間:約 1分20秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2015年11月11日 AM11:45

再生医療を実施する自由診療クリニックの規制に一石

)は11月9日、自由診療による「再生医療的行為」に警鐘を鳴らす、世界的に稀有な裁判例を分析・報告した研究成果を発表した。これは、同センタートランスレーショナル・メディカルセンター臨床研究支援部の一家綱邦室長、および京都大学iPS細胞研究所上廣倫理研究部門の藤田みさお特定准教授、八代嘉美特定准教授、ならびに京都府立医科大学法医学教室の池谷博教授らによる共同研究の成果である。

同研究は、国内外で問題になっている、幹細胞治療を再生医療として自由診療の下で実施するクリニックに対して、クリニックで再生医療を受療した患者が、身体状況が悪化したこと、医師の説明義務違反があったことを理由に訴え、患者が勝訴した事件判決を考察・分析したもの。このような判決は国内だけでなく、世界的に前例がないと推定され、再生医療を実施する自由診療クリニックに対する規制のあり方に一石を投じるものだという。

法規制のあり方の再考、専門家集団・医療者・患者の連携求める

日本で制定・施行されている再生医療安全性確保法は、法規制の形式態様としては医療行為に対する事前規制だが、それに加えて事後規制としての民事・刑事・行政事件の活用可能性を示したのが、東京地方裁判所の2015年5月15日判決(Xクリニック事件判決)であると研究グループは考察。また、事前・事後いずれの法規制にも限界はあり、その限界を克服するために専門医団体、医療職一般、患者にも努力が求められることを示している。

同研究グループは、国内外の自由診療クリニックによる問題のあると考えられる再生医療が少しでも抑制され、各種報道を通じて仄聞するような受療者の被害がなくなることを望んでいる。今回の研究の発表を通じて、この問題が広く社会に認識されること、特に特定認定再生医療等委員会の再生医療提供計画の審査において参考にされることや、法規制のあり方の見直しの一助になることを願うと述べている。

なお、同研究成果は米科学誌「Cell Stem Cell」オンライン版に、11月6日付で公開されている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 血液中アンフィレグリンが心房細動の機能的バイオマーカーとなる可能性-神戸大ほか
  • 腎臓の過剰ろ過、加齢を考慮して判断する新たな数式を定義-大阪公立大
  • 超希少難治性疾患のHGPS、核膜修復の遅延をロナファルニブが改善-科学大ほか
  • 運動後の起立性低血圧、水分摂取で軽減の可能性-杏林大
  • ALS、オリゴデンドロサイト異常がマウスの運動障害を惹起-名大