労働年齢の人々に影響を与える強度近視によるmCNV
ドイツのバイエル ヘルスケア社は10月30日、眼科用治療薬「アイリーア(R)」(一般名:アフリベルセプト硝子体内注射液)について、5つ目の適応となる病的近視における脈絡膜新生血管(mCNV:myopic choroidal neovascularization)に伴う視力障害に対する適応承認を、欧州委員会から取得したと発表した。
アフリベルセプトは、ヒトVEGF受容体1と受容体2の細胞外ドメインの一部をヒトIgG1のFcドメインと融合させた遺伝子組換え融合タンパク質。可溶性のデコイ受容体としてVEGFの一種であるVEGF-Aと胎盤成長因子(PlGF:placental growth factor)に結合することにより、本来のVEGF受容体への結合および活性化を阻害する。
mCNVは、後眼部に病的変化を伴う強度近視(一般的には少なくともマイナス6ディオプターの屈折度を有する近視)の患者における網膜疾患。異常に長くなった眼球において強膜、脈絡膜、網膜が物理的に引き伸ばされることで進行性の変性変化が生じ、これらの変性変化が脈絡膜新生血管の形成を誘発する。労働年齢の人々においてしばしば影響を与えるとされる。
日本ではすでにmCNVの適応で承認済み、ドイツでも発売へ
今回の承認は、第3相臨床試験の結果によるもので、同剤の投与により、患者の大半において標準的な視力表で2行という有意な視力改善が認められたという。不可逆的な視力喪失を防ぐだけでなく、視力改善も期待できる治療選択肢は、mCNV患者にとって非常に大きな意義があるとして、今後に期待が寄せられている。
同剤はすでに、滲出型加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫、および網膜静脈閉塞症(網膜静脈分枝閉塞症または網膜中心静脈閉塞症)に伴う黄斑浮腫の適応で承認済み。販売開始以来、世界で500万回以上投与されており、日本では、mCNVの適応でも既に承認を取得している。同社は、欧州における最初の発売国の1つとして、ドイツでの市場導入を直ちに進める計画だ。
▼関連リンク
・バイエル薬品株式会社 プレスリリース