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ヘルメット型PETの開発に成功、高性能・小型の装置で認知症早期診断の普及目指す-放医研

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2015年11月10日 PM12:45

今後、需要拡大が見込まれるPET装置

放射線医学総合研究所は11月5日、株式会社アトックスとの研究チームが世界初となるヘルメット型PETの開発に成功したと発表した。


画像はリリースより

日本をはじめ高齢化が進む先進国において、アルツハイマー病をはじめとする認知症対策は喫緊の課題だ。認知症等を早期に発見することにより、病気の進行度合いを本人や周囲が把握して、症状の進行抑制や介護等適切な対応が可能となる。そのため、PETによる認知症早期診断の実現が期待されており、PET装置についても大きな需要が見込まれている。

認知症の早期では、微量な原因タンパク質をPETで画像化するのに十分な解像度と感度が必要だ。しかし、従来の全身用PET装置はそれらが十分でないほか、高価・大型のため普及には限界がある。感度を上げるには検出器を測定対象に近づける必要があるが、従来の検出器はそれにより解像度が劣化してしまう。そこで研究チームは、放医研の独自技術である、近づけても解像度を維持できる3次元放射線検出器(DOI検出器)の特性を活かして、高解像度・高感度・コンパクト・低価格な頭部専用PET装置の実現を目標に研究を進めたという。

独自の半球状検出器配置で検出器数1/5でも3倍感度を達成

解像度の劣化を防ぐため、これまでのPETはすべて大口径の円筒型検出器配置だった。そこで今回の研究では、近づけても解像度を維持できるDOI検出器を用いて、頭部に最も検出器を近づけるようにした。具体的には、半球状に検出器を並べたヘルメット部(内径25 cm、外径50 cm)のほかに、あご部にも帽子のあごひものように検出器を追加配置することで、脳の中心部の感度も高めているという。

このヘルメット型PETを従来の円筒型の全身用PET装置と比較した場合、近接化により3倍以上感度が向上し、微量な脳内タンパク質の画像化も可能になるという。検出器数も1/5に削減でき、従来技術では相容れることがない高性能化と低価格化を同時に実現できる可能性があるとしている。

高性能、小型かつ低価格で導入、設置がしやすいヘルメット型PETは、認知症早期診断の普及や神経変性疾患や精神神経疾患の病態、脳の機能を明らかにできると期待される。

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