■極端な変更不可品目が影響
厚生労働省は6日、後発品の使用促進策の影響に関する2015年度調査の結果速報を、中央社会保険医療協議会総会に示した。今年6月の後発品調剤割合は新指標で60.9%と6割を突破し、後発品名で処方された医薬品で「変更不可」の割合は15.9%と前回調査の44.8%から大幅に減少した。その要因を分析した結果、変更不可とされた品目数が9割を超える薬局が全体の7%あり、これが全体の変更不可の割合に大きく影響していると考えられた。
保険薬局の後発品調剤体制加算の算定状況を見ると、数量シェア55%以上の「加算1」(18点)が28.2%と前回調査より0.2%減少した一方、数量シェア65%以上の「加算2」(22点)が40.4%と10.5%も増加。よりハードルの高い「加算2」の算定にシフトしており、後発品の使用促進を後押ししている効果がうかがえた。
後発品の調剤割合は、新指標で「65%以上~70%未満」が19.1%と最も多く、次いで「60%以上~65%未満」が16.2%、「70%以上~75%未満」が13.1%、全体の平均は60.9%だった。
1週間の取り扱い処方箋に記載された医薬品で一般名処方の割合は24.8%と前回調査の18.1%から6.7%増え、そのうち73.0%で後発品が選択されており、後発品への変更調剤が確実に進んでいることがうかがえた。一般名処方で後発品が選択された割合も2.2%増えた。
一方、後発品名で処方された医薬品で「変更不可」となっている割合は15.9%と、後発品の銘柄指定が問題視された前回調査の44.8%から大幅に減少した。この要因について、後発品で変更不可とされた品目数の割合が90%を超える薬局が全体の7%あり、これら薬局だけで変更不可とされた品目数全体の多くを占めていることが明らかになった。厚労省は、後発品の銘柄指定について、「一部の薬局における変更不可の割合が全体に大きく影響していると考えられる」と分析した。
ただ、変更不可の後発品が処方されることにより、49.3%の薬局が調剤を行う上で「問題があった」と回答。前回調査よりも3.2%増えており、依然として後発品の銘柄指定が問題となっている。
後発品の調剤に対しては「全般的に」「薬の種類によって」「患者によって」を合わせ、95.0%にのぼる薬局が後発品の説明をして調剤するよう取り組んでいた。
薬や患者の種類によって後発品を調剤している薬局などが、後発品を積極的に調剤していない医薬品の種類を見ると、精神神経用剤が35.7%と最も多く、次いで抗悪性腫瘍剤34.3%、免疫抑制剤27.8%で、剤形は外用剤が57.4%と最も多かった。
さらに、一般名処方の調剤、後発品への変更調剤に関する情報提供の頻度について、医療機関と予め合意した方法で行っている薬局は31.6%あった。その合意した方法は「原則、調剤をした都度行うが、前回と同じ内容だった場合は連絡しない」が68.9%に上った。