■大手チェーンも概ね低下
厚生労働省は4日、医療機関や薬局の経営状況を調べた「医療経済実態調査」を公表した。保険薬局の利益率を見ると、診療報酬改定前の2013年度の9.3%から、改定後の14年度には2.1ポイント低下の7.2%となり、経営状況が悪化した。法人の店舗数別に見ても6~19店舗の保険薬局で0.3ポイント改善したが、それ以外では利益率が悪化していることが分かった。保険薬局の平均年収は、法人の管理薬剤師を除き、個人、法人ともに増えていた。
調査は、病院2578施設(有効回答数1365施設、有効回答率52.9%)、一般診療所3111施設(1637施設、52.6%)、歯科診療所1130施設(585施設、51.8%)、保険薬局1763施設(911施設、51.7%)を対象に実施した。
保険薬局の利益率を開設者別に見ると、個人が13年度の12.8%から14年度に12.4%と0.4ポイント悪化した。法人も9.1%から7.0%と2.1ポイント下がり、個人、法人ともに診療報酬改定前の13年度に比べ、14年度の改定後に経営状況は悪化していた。
同一法人の保険調剤を行っている店舗数別の利益率を見たところ、1店舗のみの場合は1.7%からゼロに1.7ポイント悪化、2~5店舗では7.1%から3.9%と3.2ポイント悪化するなど、より経営状況の悪化傾向が強まった。
一方、6~19店舗では、9.7%から10.0%に0.3ポイント改善していたものの、20店舗以上のいわゆる大手チェーン薬局では13.4%から11.9%と1.5ポイント悪化しており、必ずしも店舗数が多くなるほど利益率が高い傾向は見られなかった。
また、保険薬局の常勤職員の1人当たり平均給与を調査したところ、法人の管理薬剤師は賞与を含め、13年度の784万円から14年度は773万円と1.3%減少したものの、法人の薬剤師は460万円から474万円に3.2%増加、個人の薬剤師も408万円から431万円に5.6%伸びていた。
一般病院の損益率を見ると、赤字が1.7%から3.1%に拡大した。医療法人は1.0%の悪化にとどまったが、国立病院は3.3%の黒字から0.3%の赤字に転落。公立病院は赤字が8.3%から11.3%と拡大した。
これに対し、一般診療所の損益率は、16.1%から15.5%に低下した。無床診療所は損益率が16.1%と0.5%悪化、有床診療所も11.7%と1.1%悪化した。