社会全体で支援体制を構築する必要性を提示
国立がん研究センター(国がん)は11月4日、18歳未満の子どもをもつがん患者とその子どもについて、国内で1年間に新たに発生する患者とその子どもの人数、平均年齢などの全国推定値を初めて明らかにし、その内容を発表した。
画像はリリースより
また、全国どこでも質の高いがん医療を受けることができるように、がん医療の均てん化を目標として整備されている国の指定医療施設である、がん診療連携拠点病院での同患者数、子どもの人数についても推定し、今後社会全体での支援体制構築の必要性を提示した。
日本人のがんの生涯罹患率は男性約56%、女性約43%と高く、年齢とともに罹患率は上昇する。近年の結婚年齢および出産年齢の高齢化により、子どもを持つ年齢が上がり、まだ自分の子どもが独立していない未成年のときにがんに罹患する患者の問題が重要になっている。
がんの宣告は、患者自身に加え、家族、特にその子どもたちにも大きな影響を与えるため、多方面から十分なサポートを受けながら、療養生活とその後の人生を送ることが出来るような支援体制が不可欠となっている。その一方、子どものいるがん患者および親ががんと診断された子どもの数などその実態は把握されておらず、この問題の重要性が十分に認知されているとは言えないのが現状だった。
18歳未満の子どもをもつがん患者は年間56,143人と推定
今回発表された推定は、国立がん研究センター中央病院の5年間の入院患者データをもとに、地域がん登録、院内がん登録の集計データにより算出したもので、18歳未満の子どもをもつがん患者の全国推定値は年間56,143人で、その子どもたちは87,017人。患者の平均年齢は、男性は46.6歳、女性は43.7歳、親ががんと診断された子どもの平均年齢は11.2歳で、18歳未満のうち0歳から12歳までが半数を超えることが明らかになったという。
また、全国のがん診療連携拠点病院での同患者数は、1施設当たり年間おおよそ82人で、子どもは128人と推定。親ががんと診断された子どもの平均年齢は11.2歳であり、子どもの年齢の上昇とともに人数が増えていくことも明らかになったという。
同センターでは、さまざまなライフステージにあるがん患者が必要な支援を受けられる社会体制の構築を目指しており、これまで配慮が十分でなかった子どもを持つがん患者と親ががんと診断された子どもたちの実態を明らかにすることで、支援体制作りに向けての第一歩にしたいとしている。
▼関連リンク
・国立がん研究センター プレスリリース