周産期・乳児期・若年期発症のHPP患者に対する治療薬として
米国のアレクシオン・ファーマシュティカルズは10月23日、「ストレンジック(R)」(一般名:アスホターゼ アルファ)が周産期・乳児期・若年期発症の低ホスファターゼ症(HPP)患者に対する治療薬として米国食品医薬品局(FDA)から承認を受けたと発表した。
HPPは、アルカリホスファターゼ(ALP)活性の低下と骨石灰化不全を特徴とする、極めて稀な慢性進行性の遺伝性代謝性疾患。骨の変形等の骨格異常の他、重度の筋力低下、けいれん発作、疼痛、および呼吸不全といった全身性合併症を生じ、乳児では早期死亡に至ることもある。全人口100万人あたりの患者数が20人に満たない疾患として定義される超希少疾患だ。
同剤は、TNSALPの欠損を補うことにより HPPの根本的な原因に対処する、骨を標的とする酵素補充療法で、米国で初めて承認されたHPP患者に対する治療薬となる。周産期・乳児期・若年期発症のHPP患者を対象とした最長で6年半の投与を行った、4つの臨床試験とその延長試験から得られたデータを基に承認された。18歳未満で初めて発症したHPP患者の臨床試験においては、同剤による治療で乳児の全生存が改善し、骨の石灰化が促進され、身長、体重そして移動能力が改善したという。同剤は欧州連合、日本、カナダでも承認されている。
Breakthrough Therapy指定に基づき優先審査
FDAは同剤をBreakthrough Therapy(画期的治療薬)に指定しており、優先審査に基づいて今回の承認に至った。FDAは同剤に対し、小児希少疾患の予防や治療のための新薬と生物製剤の開発を促進するためのプログラムである希少小児疾患優先審査バウチャーを発行。これにより、本来ならば優先審査の対象とならない別の新薬の承認申請を行う際に優先審査を受けることができた。
治験の統括医師で米国セントルイスのシュライナーズ・こども病院代謝性骨系統疾患・分子研究センターのメディカル・サイエンティフィック ディレクターであるマイケル・ホワイト医学博士は、今回の承認を受け「同剤による治療を5年間受けた幼児のHPP患者さんにおいて骨格系障害の有意な改善が報告されており、それによると全員が機能的移動能力の改善を示し、多くの患者さんが同世代の健常者の正常範囲内に入るという成果が認められました。このような進展は非常に嬉しいことです」と述べている。
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・アレクシオンファーマ合同会社 プレスリリース