アルビレオ社から導入した新規作用機序をもつ経口便秘薬
味の素製薬株式会社は10月30日、慢性便秘症治療薬として開発中の「AJG533」(一般名:Elobixibat)について、慢性便秘症患者を対象とした日本における第3相臨床試験および長期投与試験を開始したことを発表した。
AJG533は、スウェーデンのアルビレオ社から導入した新規作用機序をもつ経口便秘薬。胆汁酸の再吸収に係わる胆汁酸トランスポーターを阻害し、胆汁の腸肝循環を調整、腸管内の水分分泌および腸管運動を促進し、排便を促す。
欧米における慢性便秘の患者を対象とした第2相臨床試験では、排便回数、イキミ、硬便、腹部膨満等の主な便秘および過敏性腸症候群における便秘(IBS-C)の症状を、用量依存的に、臨床学的および統計学的に有意に改善している。
プラセボを比較対照として有効性、安全性を評価
今回開始した第3相臨床試験においては、プラセボを比較対照としてAJG533の有効性を検証し、安全性も評価する。また、長期投与試験においては、AJG533を長期投与した場合の安全性および有効性について評価するという。
慢性便秘は世界中で最も一般的な疾患の1つであり、女性や高齢者を中心として人口の約15%に見られる。慢性便秘では、硬便、塊状便、イキミ、不完全な排便感、不快感および腹部膨満等の症状があり、患者のQOLの低下および治療費負担の増大につながっている。慢性便秘の患者のおよそ50%は既存の治療法に満足していないとする調査もあり、この領域におけるアンメットメディカルニーズを示唆している。
味の素製薬は、既存薬にない新たなメカニズムの薬剤を提供することで、慢性便秘症の治療選択の幅を広げ、患者のQOL向上に貢献したいとしている。
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・味の素製薬株式会社 ニュースリリース