北田氏は「療養・精神病床で病棟業務を行っている薬剤師は、9週目以降もその業務を継続している。医師サイドからの評価も得ている」と言及。2014年度の改定で同加算の算定対象が4週から8週へと拡大されたため、連続した再度の拡大は「そう簡単にはいかない」とした上で、「入院期間の短縮やポリファーマシーの削減など、薬剤師の関与による画期的なエビデンスがあればいい。それを揃えつつ、一般病床並みの算定を要望していく」と語った。
同会議では中国四国ブロックの各県病薬会長から、療養・精神病床のマンパワーを拡充させる手段として、薬剤師配置基準の見直しを求める声も挙がった。現行の療養・精神病床の配置基準は「入院患者150人に対して1人」とされている。日病薬はかつて同基準の改定を求めたが、実現には至らなかった経緯がある。
北田氏は「国にお願いする動きが閉ざされたわけではないが、今の時代では難しい。配置基準の改定ではなく、薬剤師の配置によって、安全面や薬物治療の質、患者の満足度が高まるというエビデンスを示すことに取り組むべきだと思う」と呼びかけた。
一方、エビデンスを構築するにも「薬剤師数が少ないため、エビデンスをつくる余裕がない。従って薬剤師が増えないという負のスパイラルがある」(岡山県病薬千堂会長)との苦悩が示された。高知県病薬の宮村会長は「薬剤師の就業者は都市部に集中する傾向にあり、地方において薬剤師の確保が難しい。特に薬系大学が設置されていない県では大きな課題になっている」と窮状を訴えた。
中国四国地区では高知県、島根県、鳥取県に薬系大学が設置されていない。こうした中、島根県病薬の直良会長は「昨年度から島根県薬と島根県病薬は合同で高校生を対象とした説明会を実施している」と話した。薬剤師の仕事や薬系大学を高校生に紹介し、薬学部への進学を促す取り組みだ。昨年度の説明会には高校生約100人が参加した。今年度は島根県東部と西部で1回ずつ開催する計画だ。「島根県では薬学部に進学する高校生が40人ほどと少ない。そこから変えないと薬剤師は増えない」と直良氏は語った。
また、鳥取県病薬の島田会長は「鳥取県が中心になって昨年度から、鳥取県出身の薬学生に2泊3日で鳥取大学病院などで薬剤師の業務を見学してもらう取り組みを開始した」と紹介した。薬学部に進学する鳥取県出身の高校生は50~60人。この体験を通じて卒後のUターン就職者を増やしたい考えだ。