進行性悪性黒色腫、非小細胞肺がんでは「画期的治療薬」に指定済
Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.Aは10月26日、開発中の抗PD-1抗体「KEYTRUDA(R)」(一般名:ペムブロリズマブ)について、進行性非小細胞肺がん(NSCLC)を対象としたKEYNOTE-010試験が主要目的を達成したことを示す結果を発表した。
KEYTRUDAは、FDAから進行性悪性黒色腫、および非小細胞肺がんに対する「画期的治療薬」に指定されている抗PD-1抗体。KEYNOTE-010では、2つの用量のKEYTRUDA(FDAに承認された用量の2mg/kgと探索的な用量の10mg/kgをそれぞれ3週間ごとに投与)と、広く用いられている化学療法の「ドセタキセル」とを比較する第2/3相無作為化検証試験。進行性NSCLCに対する前治療が無効で、腫瘍細胞の1%以上がPD-L1(プログラム細胞死受容体-1)陽性の患者を対象とした。
主要評価項目は、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)。腫瘍縮小効果の評価は、RECIST 1.1に基づく盲検下での画像を用いた独立中央判定と、免疫学的評価基準に基づく治験責任医師の判定により12週目と以後6週間ごとに行った。評価項目はPD-L1強陽性患者(腫瘍細胞の50%以上)とすべてのPD-L1陽性患者において評価したという。
2015年後半に米国、2016年前半にEUで承認申請を予定
主要評価項目の解析により、KEYTRUDA群のOSがドセタキセル群と比べて延長することを確認。2mg/kg及び10mg/kgの用量のいずれも同様の結果が得られた。また、最初に規定された解析対象集団(腫瘍細胞の50%以上がPD-L1陽性の患者)、及び登録したすべての患者(腫瘍細胞の1%以上がPD-L1陽性の患者)でも、同様の結果が得られたという。
さらに、KEYTRUDAは腫瘍細胞の50%以上がPD-L1陽性の患者において、いずれの用量でもドセタキセルと比べてPFSの延長。すべてのPD-L1陽性患者においては、いずれの用量でもドセタキセルと比べて数値的には優れていたが、統計的には有意差はみられなかったという。なお、安全性プロファイルは、これまでに進行性NSCLC患者を対象とした臨床試験で報告された安全性プロファイルと一致していたとしている。
同剤は、日本でも悪性黒色腫、非小細胞肺がん、膀胱がん、頭頸部がん、胃がん、乳がん、ホジキンリンパ腫の適応症において臨床試験が進行中。また、治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する効能・効果については、厚生労働省より「先駆け審査指定制度」初めての対象品目に指定されている。
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