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変革期を迎えた静脈血栓塞栓症治療、単剤治療が可能なリバーロキサバンがもたらすメリットとは

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2015年11月02日 PM04:00

バイエルセミナーに三重大・山田氏と大阪成人病センター・堀氏が登壇

バイエル薬品株式会社は10月28日、「静脈血栓塞栓症(VTE)治療における新規経口抗凝固薬の新たな挑戦」と題したプレスセミナーを開催。三重大学医学部附属病院 循環器内科科長の山田典一氏、大阪府立成人病センター 名誉総長の堀正二氏が講演した。


三重大学医学部附属病院 循環器内科科長 山田典一氏

(DVT:deep vein thrombosis)と肺血栓塞栓症(PE:pulmonary thromboembolism)は総称して「静脈血栓塞栓症(VTE:venous thromboembolism)」と呼ばれ、一般にエコノミークラス症候群として知られる。年間の死亡者数は欧州で50万人以上、米国で約30万人。これまで日本においては患者数が少ないといわれていたが、増加傾向にあることが近年の研究で明らかになっている。

バイエル薬品の選択的直接作用型第Xa因子阻害剤「(R)錠」(一般名:)は、9月24日付でDVTとPEの治療および再発抑制に対する適応追加承認を取得。DVT/PEの初期治療から再発抑制までを経口剤のみで行う「シングル・ドラッグ・アプローチ」が日本で初めて可能となった。

VTEに対するこれまでの治療は、急性期においてはワルファリンとへパリンが併用されていた。これについて山田氏は「ワルファリンもヘパリンも、個々人に必要な投与量を細かく用量調整する必要があった。これが急性期の治療を煩雑にしていた」と語る。また、ワルファリンは効果が表れるまで5~7日ほどを要することに加え、食事制限の必要があるなど、細かな対応が必要とされた。

そこに登場したのがNOAC()だ。これまでも国内ではエドキサバンが承認されていたが、同剤は早期にヘパリン等の治療を行ったうえで切り替える必要があった。「リバーロキサバンは最初から単剤による治療が行える。ヘパリンの用量調整が不要となり治療が簡便になるため、我々医療従事者の負担も患者の負担も減る」と山田氏はリバーロキサバンに期待を寄せる。

外来での治療が可能に、入院期間の短縮効果も期待


大阪府立成人病センター名誉総長 堀正二氏

VTEに対するリバーロキサバンの適応追加は、海外で行われた第3相臨床試験「EINSTEIN PE」、「EINSTEIN DVT」や、日本のPE患者とDVT患者のそれぞれを対象とした第3相臨床試験「J-EINSTEIN PE」、「J-EINSTEIN DVT」で得られたデータに基づき承認された。これらの臨床試験では、従来療法と比較して重大な出血事象や臨床的に問題となる出血事象の発現頻度は同程度であるとの結果が出ている。また、重大な出血事象を46%有意に減少させることが確認されているが、添付文書の警告欄に慎重な投与判断を処方医に求める旨の注意喚起を追記された。

これについて堀氏は、「初期治療期は海外と同じ15mg、1日2回と、高用量であることから出血が多いのではないか、と審査の過程で懸念が示された。(医薬品医療機器総合機構)は、15mg、1日2回という投与は妥当であり安全性上の懸念は見出されなかったと判断したが、部会での議論を踏まえ、出血リスクが高い患者グループについては警告の項に注意喚起が必要であると判断した」と経緯を説明。「まだエビデンスとして十分なn数を持っていないため、注意喚起が必要だろうと判断がされ、バイエル薬品も患者の安全性をより確保するため、注意喚起を追記することに同意された」と堀氏は語った。

質疑応答で山田氏は、単剤での初期治療が可能となったメリットを改めて強調。「DVTの初期治療を外来で行うのはほぼ不可能だった。診断がついた段階で外来での治療が難なくできるようになり、入院が不要となるのは患者にとって大きなメリットだ」とコメントした。またPEの治療についても「多くは入院して治療を行うが、症状が落ち着いたあともワルファリンのコントロールを付けるためだけに入院してもらう患者もいた。リバーロキサバンの登場は入院期間の短縮にもつながる」と、患者と病院双方にメリットがあるとした。(QLifePro編集部)

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