独自の核酸モノマーを用いた核酸オリゴマーの液相合成技術の開発に成功
科学技術振興機構(JST)は10月29日、2013年度から高知大学に委託していた研究開発課題「医薬品利用を指向したリボヌクレオチド関連化合物の大量合成技術の開発」(プロジェクトリーダー:高知大学教育研究部総合科学系の片岡正典特任講師、起業家:喜多山篤氏、起業支援機関:株式会社テクノネットワーク四国(四国TLO))において、独自の核酸モノマーおよびこれを用いた核酸オリゴマーの液相合成技術の開発に成功したと発表した。また、この成果をもとに研究開発に参加したメンバー、および、四国TLOが出資して、「株式会社四国核酸化学」を設立したことも併せて発表されている。
画像はリリースより
核酸医薬品は、細胞内のあらゆる遺伝子を制御することができ、今まで治療困難とされてきたさまざまな疾患への臨床応用が期待されているバイオ医薬品であり、世界で急速に研究開発が進展している。核酸医薬品の合成原料となる核酸オリゴマーは、現在、主に固相法による化学合成にて製造されているが、安価に大量合成ができない点が課題だった。
核酸医薬品原薬を安価かつ高品質に製薬企業へ提供
今回、片岡特任講師らは、独自に開発した核酸モノマーを用いて核酸の液相合成法を開発。このモノマーは、少ないステップ数かつ高収率で合成でき、必要な原料は安価で大量調達が可能。従来法(固相法)ではオリゴマー合成時に大量の廃溶媒が排出されていたが、同法ではこれを大幅に低減できるという。
また、オリゴマーの長さを伸ばす鎖長伸長反応の各ステップは高収率に進む。通常の低分子化合物の合成と同じ操作要領で核酸オリゴマーを合成できるため、反応容器の大型化に比例して製造量を増強できる見込みだという。
今後は、設立したベンチャー企業を通じて、製薬企業などと共同で核酸医薬品の合成原料の大量合成技術の開発を実施し、国内外の核酸医薬品の開発に貢献することを目指すという。現在は1バッチあたり数10gほどの合成量だが、グラムスケール以上の核酸オリゴマーの受託合成を主事業として、平成29年度をめどに売り上げ目標5億円を目指すとしている。
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・科学技術振興機構(JST) プレスリリース